『国内最大級の海抜ゼロメートル地帯』の選挙 津波や液状化のリスク、候補者が訴える防災対策は 愛知9区 (21/10/27 19:40)
日本有数の海抜ゼロメートル地帯を抱える愛知9区。津島市や稲沢市などを含みます。候補者が訴える防災政策を取材しました。
「(電柱に張られた印を指さしながら)この高さが海抜マイナス1.8mですね」(愛知県蟹江町の住民 飯田数義さん)
蟹江町や愛西市、津島市などが含まれる愛知9区に広がるのが、国内最大規模の『海抜ゼロメートル地帯』です。
蟹江町で2年前まで自治会長を務めていた飯田数義さんは、自宅の土台を道路の高さよりも150cmほど高くしています。
「これが家です。元々は畑でしたが、住む家にするためには(土台は)最低これくらい高くないと…。洪水が来た時は床下(浸水)で済むくらいかな」(飯田数義さん)
南海トラフ地震など、大きな地震が来た時には、津波のほかに、近くの川の水があふれることも心配です。
地震が発生すると、蟹江町だけでなく隣接する愛西市、津島市、弥富市などを含めた広い範囲では液状化が予想され、堤防が沈下するおそれがあるからです。
防災・災害対策は有権者の大きな関心事
飯田さんが住む地域は、30分以内に浸水が30センチに達すると想定されていて、事前の避難が必要な地域に指定されています。
「家の近くには川があるので、河川の水害に対する備え。堤防をちゃんとしてもらうとか、そういうことに心を配ってもらえるとありがたいですね」(飯田数義さん)
隣の津島市でも、震度6強以上の大きな地震の際には、ほぼ全域で液状化の可能性が極めて高いとされています。消防団の倉庫にはボートが備えてありました。
「向こうに日光川があるが、川の水面が普通の家の1階の屋根ぐらいの高さがあるんですよ。それをみるとやっぱり怖いかなという思いがあります」(津島市の消防団員)
また、大雨の時も気を付けなければいけません。
「道にたまに10cmくらい水が溜まります。避難所は小学校になっているが、あまり海抜が変わらないので、もう少し高めのところに(避難所が)あればいいなと」(津島市民)
この地域を含む愛知9区から立候補を予定しているのが、届け出順に
自民党の前職、長坂康正さん(64)と
立憲民主党の前職、岡本充功さん(50)です。
自民党の長坂康正氏「堤防などインフラを補強しながら液状化対策を進める」
長坂さんは地元の防災について、海抜ゼロメートル地帯から海へ排水する機能を強化するとともに、液状化対策が重要だと訴えます。
「大地震が起こって液状化が起こると1~2m堤防が沈んでしまう。これが一番怖い。木曽川の堤防などいろいろな所を検査し、しっかり補強しています。肝心なインフラを補強しながら液状化対策も進めるということが大事」(自民・長坂康正さん)
絶えず動き回る選挙活動中、つかの間の休息となるのがお昼ごはん。B級グルメやスイーツが好きだという長坂さんがこの日食べたのは、たこ焼きとみたらし団子です。
「ほっとしますよね、一息つける。この黒く焦げてるのが愛知県のみたらし団子なんですってね。おいしいですよね、やっぱり」(自民・長坂康正さん)
立憲民主党の岡本充功氏「南海トラフの津波・液状化対策 降雨対策も必要」
一方、岡本さんは、液状化対策や木曽川の堤防整備などに注力してきたと話します。
「基本的に水との戦いですよね。東南海・南海トラフ地震の津波・液状化対策。ここはもう早くやりたいと思っています。尾張大橋のたもとの堤防が低くなっている木曽川の土のうの整備について、きちっとした基準を決めて周知するなどの降雨対策も必要です」(立憲・岡本充功さん)
岡本さんの地元は「国府宮はだか祭り」で有名な稲沢市です。
週末には祭りに向けた、もち米の収穫イベントに参加しました。
「今年の稲の状況ね、私も見ているんですけど、豊作がゆえに米の価格が下がることをすごく気にしています」(立憲・岡本充功さん)
共産党の不出馬で初の一騎打ちに
今回は共産党からの立候補者が出ず、4回目の戦いにして初の一騎打ちとなりました。
「大変厳しいと思います。政権選択の厳しい選挙ですから、我々は相手のことを言うのではなく、自民党はこの地域を守っていく課題はしっかり私たちがやっていく」(自民・長坂康正さん)
「どなたであれ9区の有権者だろうと、そうでなかろうと、国民の皆さんにしっかりと話をして選んでもらうのが総選挙。いろいろな方にお話しして訴えることを続けていきたいと思います」(立憲・岡本充功さん)
衆院選の投票は、31日に行われます。
(10月27日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)