「こんな本書いていない」有名作家かたる“偽書籍”横行、生成AI使った可能性も… どう見抜く?【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG
アマゾンの電子書籍サービス「キンドル」で、吉本ばななさんの名前をかたった“偽書籍”が出品されていました。生成AIを使って作られた可能性も指摘されています。
■有名作家かたる“偽書籍” 吉本ばななさん「こんな本書いてない」
高柳光希キャスター:
吉本ばななさんの名前をかたった“偽書籍”は、Amazonの電子書籍サービス「Kindle」に596円で出品されていました。現在は削除されていますが、タイトルは「世界には時間がない」。この読者から吉本ばななさんの元に連絡があり、発覚しました。
それに対し、吉本ばななさんはXで「私はこんな本書いてないので、読者のみなさん間違えて買わないでください。とんでもないことです」と投稿をしています。
吉本ばななさん以外にも、村上春樹さんや東野圭吾さんの“偽書籍”も出版されているということでした。
直木賞作家でNスタのコメンテーターでもある、今村翔吾さんにお話を伺いました。「作家の名前をかたり、読者をだます行為は許せない。本を購入する前に、作家・出版社が発信する新刊情報などを確認してほしい」とのことです。
ホラン千秋キャスター:
作家の皆さんは時間を削って作品を生み出しているのに、自分の名前でまったく違うものが世に出てしまうことはショックですし、衝撃ですし、こんな時代になってしまったんだなと思いますね。
スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
すごく心が痛いことですよね。ただ注意したいのは、生成AIのせいではなく、これを乱用し、悪用する人間がいるということですよね。
最新技術をどうやって人間がいかにうまく活用するか、世のために活用するかということがやっぱり大前提ですよね。
高柳キャスター:
では、偽書籍はどのように横行しているのでしょうか。
■「Kindle」に自分で書いた本も出版可能 出版までの流れ
Amazonの電子書籍サービス「Kindle」は、出版社が出版する本だけではなく、個人の書籍も出版することが可能となっています。ですから、誰でも自分で書いた本が出版できるということです。
まず、“セルフ出版”サービス「Kindleダイレクト・パブリッシング」を使い、氏名住所などを記入してアカウント登録
→さらに、原稿・表紙画像など、作成した本のデータを送信
→ガイドラインにそった審査を受け、出版地域・価格などを設定し、電子書籍を出版が可能
最後の設定から、通常72時間以内に出版の手続きが完了してしまいます。さらに、無料で“セルフ出版”までできるということです。
ただし、もちろんわいせつな表現や、不適切と判断されるコンテンツは販売することができません。
■有名作家かたる“偽書籍”横行 法的に問題は?
今回のように名前やペンネームを無断で使用した場合、法的に問題があるのか、著作権に詳しい牧野和夫弁護士に聞きました。「名前に著作権はないので、著作権侵害には当たらない可能性が高い」という見方を示しています。
ただし、著作権侵害以外に他の罪に問われる可能性はあります。
●名前・ペンネームが商標登録されている場合「商標権侵害」
※今回に関しては商標登録はされていません。
●商業目的で悪用した場合「不正競争防止法違反」
●有名作家をかたり読者を騙した場合「詐欺罪」
■生成AI使った“偽書籍”も…どう見抜く?
今回は生成AIを使った可能性も指摘されています。
生成AIに詳しい国立情報科学研究所の越前功教授にもお話を伺いました。「“偽書籍”には生成AIに指示して書かせた可能性が高いものも存在している」ということです。
どういったポイントで見分けるかというと、例えば表紙の絵に不自然な歪みがあったり、文章にも違和感のある構成がされたりする特徴があるそうです。
具体的に見ていくと、吉本ばななさんをかたる“偽書籍”に関しては、表紙の絵にうつる人物の手とカバンが離れているように見えます。
村上春樹さんをかたる“偽書籍”だと、数字の表記が90度傾いています。他にも、「わずかな金庫から20元を取り出し…」といった表現をされていますが、「わずかな金庫」という言い回しはしないかと思います。
これらの“偽書籍”は、どうやって見抜くのでしょうか。
越前教授によると、「今後AIのクオリティが上がり、人間が書いたものかどうか見分けがつきにくくなる。有名作家の書籍は、出版社の表記があるものを購入するのが望ましい」ということです。
ホランキャスター:
違和感はあるけれども、“そういう世界観なのかもしれない”という、もしかしたらそういう表現を追求した結果なのかな…と結論付けてしまう人もいるかもしれません。非常に見分けるのは難しいと思います。
田中ウルヴェ京さん:
小さいスマホの中で自分の好きな作家さんの「新しい書籍だ」って思ったら、わくわくしてしまって思わず…なんてことはやっぱりあり得る。
だからこそ、「出版社を見る」というのは本当に簡単にできることなので、どの出版社から今回は出しているのだろうということを買う前に確認する、ひと手間が欲しいですね。
…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20250227-6221655)
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