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ASDと自己愛性パーソナリティ障害は違いますか?【違うものだが一部注意必要、精神科医が8分でまとめ】

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0:05 はじめに(ASDと自己愛性パーソナリティ障害は違いますか?) 0:35 ASDと自己愛性パーソナリティ障害、この2つは違うもの 2:09 注意点①一見似ることがある 4:02 注意点②合併することがある 6:51 まとめ ASD(自閉症スペクトラム障害)と自己愛性パーソナリティ障害は違いますか?これは「脳の特性」と「認知の偏り」の点で違うものです。ただし、一見「表出が」似る場合があること、発達障害の「二次障害」として合併しうることに注意が必要です。 精神科医が約8分でご質問にお答えします。 出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長) こころ診療所吉祥寺駅前 https://kokoro-kichijoji.com 府中こころ診療所 https://fuchu-kokoro.com チャンネル登録お願いします https://www.youtube.com/c/こころ診療所チャンネル ↓↓内容の詳細は下記になります。 (1)ご質問「ASDと自己愛性パーソナリティ障害は違いますか?」 ご質問にお答えします。今回は、「ASDと自己愛性パーソナリティ障害は違いますか?」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。 今回お受けしましたご質問は「ASD(自閉症スペクトラム障害)と自己愛性パーソナリティ障害、この2つは違いますか」というご質問になります。 まず、シンプルなお答えとしては「これは違います。ただし、一部注意が必要」というふうにお答えしたいと思います。 (2)ASDと自己愛性パーソナリティ障害について では、この2つまず振り返っていきますと、まず自閉症スペクトラム(ASD)ですけれども、これは「社会性の障害」対人面のことと「こだわり」、この2つが特徴的な生まれながらの発達障害になります。 社会性の障害というのは、対人面の障害でありまして、これによって他者に配慮ない言動・他の人に配慮ない言動が出てくることがあると言われます。 その結果、最近ですとご夫婦間では、「カサンドラ症候群」などで問題になることも言われています。 2つ目の「自己愛性パーソナリティ障害」ですけれども、これは「パーソナリティ障害」の一つでして、その中でも自分が特別だと思い、他者を下に見るタイプのパーソナリティ障害になります。 この認知の偏り・考え方の偏りによって、他者への配慮ない言動が出ることがあります。 これもカサンドラ症候群で問題になりますし、その他職場の人間関係などでも問題が出てくることがあります。 (3)ASDと自己愛性パーソナリティ障害は「違う」、ただし注意点あり この2つは、まず明確に違うものというふうにはお伝えしなければいけません。 ASD・自閉症スペクトラムは、あくまで「発達障害」生まれながらの脳の特性というところになります。 その一方で、自己愛性パーソナリティ障害はパーソナリティ障害の一つでありまして。もちろんもとの要素はあるんだけれども、そこから経験も合わさったことによって出てくる「パーソナリティ障害」であります。なのでこの2つは違う。 一方で注意点はあります。どういうものがあるかというと、まず1つ目は「一見似ることがある」というところ、2つ目は「合併することがある」ということになります。 (4)注意点1:一見似ることがある 順番に見ていきます。まずは「一見似るところがある」ということですけれども、この2つ原因は違うんだけれども、表出・表に出るものは似る点が多いというところはあります。 具体的な共通点をちょっと見ていきたいんですけれども、まず1つ目としては「他者への配慮のない言動」というところ。これはASDのもとの「社会性の障害」から出ることもありますけれども、一方で、自己愛性パーソナリティ障害において「相手を下に見るという認知」から出てくることもあり得ます。 2つ目としては、いわゆる「自分ルールの押しつけ」というところになります。これは自閉症スペクトラムのこだわりから起こることも少なからずありますけれども、一方で、この自己愛性パーソナリティ障害においても、あくまで自分の方が正しいと思うから、自分ルールを押しつけるという文脈で出ていることもあり得ます。 3つ目としては、「冷たさや共感性のなさ」というところが指摘されることがあります。これは、自閉症スペクトラムでも、対人面・社会性の障害というところをベースに出ることもありますし、逆にNPD・自己愛性パーソナリティ障害においても、認知のところからこういった表出が出ることがあり得ます。 ここでご質問としてあるのが、例えばカサンドラ症候群において「家と仕事で態度が違います。この場合はどっちですか」というご質問を受けることがあります。 やっぱりここにおいては、その態度を変えることがある種器用にできるというところにおいて、ASDではなくて自己愛性パーソナリティの可能性が高いとは思われます。 ただし、ASD(自閉症スペクトラム)でも外では過剰適応していると、家ではある種「素が出る」という部分の可能性も否定しきれないところがあります。 ただ、一方で、いわゆる「悪意」とか「駆け引き」的なところに関しては、ASD・自閉症スペクトラム障害では比較的目立ちにくいというふうには思われるかと思います。 (5)注意点2:合併することがある 2つ目としては合併することがあるというところになります。 ここでパーソナリティ障害を一つ振り返っていきますと、「もとの要素」があって、そこに「経験」が加わることによってパーソナリティ障害になるという文脈がありました。 ここで非常に似やすいのが、発達障害に二次障害が加わったらどうかというところでして、発達障害のもとの傾向があった中で、いろいろ嫌な経験2次障害が加わることで、パーソナリティ障害、いわゆるパーソナリティ変化によってパーソナリティ障害の症状が出るということがあり得るということがあります。 ここにおいて、より詳しく見た時、自閉症スペクトラム障害に2次障害が加わったらどうかとなりますと「パーソナリティー障害」になり得るわけですけれども、その中で何になりやすいかというと、この「自己愛性パーソナリティ障害」の方に行くことがあり得るということがあります。 <どのように合併に至るか> 例えば、今、幼少期に孤立したときに2次的に自己愛性(パーソナリティ障害)を合併することがあるという点で見ていきますと、まずASDがありますと幼少期なぜか対人関係をうまくいかない、(ある種)自然な形でなぜか孤立したり、なぜかいじめに遭ったりということが現実に結構あり得ます。 そうすると、「他者に対しての認知」というのは変わってきてしまいます。他者は自分を傷つけるものだと考えると、「信じられるのは自分だけだ」となってくると、ある種の「自己愛性パーソナリティ的な認知」、自分を守るのは自分しかいないというふうになっていくということは、理論的にもあり得るということがあります。 <合併を防ぐには、改善するには> これは何とか防げるに越したことはないんです。 対策としてはどうかということを見ていきますと、まず幼少期というところで見ていくと、早い段階で何かサポートとか療育を入れられないかと。そうすることによって、2次障害を防ぐことによって、この自己愛性的なパーソナリティー的なものを防ぐことはできないかというのがあります。 では、大人になってからどうかという点でいきますと、もし自分で気づいたらどうするかということですけども、これは気づいたら何とか徐々にでも修正できないかというところ。「今」と「昔」は違うと。昔のイメージというのは引きずってしまうことがありますけれども、それと今は違うというところを軸に、痛みもありますけれど、徐々に認知を修正するというのは一つ方法になってくるかと思います。 では、周りの方が合併し(てい)たらどうかということなんですけれど、周りの方から見た時に、方向としてはそういう「相手が信頼できない」ところから生じているとすれば、「他者・相手も信頼できるに足る」というところを徐々に示していくということができると本来はいいんですけれども、なかなか実際問題、巻き込まれたりすると危険もありますので、もう無理はしないということが原則だと思います。ちょっと抱えきれないと思ったら「距離を取る」というのが現実的な安全策なんじゃないかなというふうにも思ったりはします。 (6)まとめ 今回は「ASD(自閉症スペクトラム障害)と自己愛性パーソナリティ障害は違いますか?」というところで見てきました。 このASDと自己愛性パーソナリティ障害は本来違うものですし、少なくとも「自閉症スペクトラムを持った方が全て自己愛性的な認知を持っている」ということではありません。そこは明確に違うと申し上げます。 その中で、ただ両者は表出・表に出るものは似ることがあったりすることがありまして、この由来が「特性」なのか、それとも「認知の面の偏り」なのかというところで判別するんですけれども、実際判別は難しいこともあり得ます。 また、ASDの2次障害として、自己愛性パーソナリティ障害のような症状が出ることがありまして、ここは対応は難しいところですけれども、もしご本人に「変える意思がある」場合には、修正の余地が生じうるんじゃないかと思われます。 こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station) 府中こころ診療所(東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887) こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル6階、☎0422-26-5695) #ASD #自己愛性パーソナリティ障害 #重ね着症候群 #カサンドラ症候群 #療育   【解説者】 医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎 精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医) 2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。

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