■身分違いの恋、犠牲、運命の皮肉を描いた物語
主人公・山瀬平三郎は、川越藩秋元家の小姓組で書物番を務める若侍。温厚でおっとりした性格ながら、「放心癖」があり、しばしば物忘れや些細な失敗をする人物
彼の身の回りの世話をするのは、小間使いの八重。彼女は几帳面で、主人の平三郎を支える忠実な奉公人です。八重の右手の小指は生まれつき内側に少し曲がっている。
平三郎は結婚のため、見合いをする。が、自分に本当に必要な人が誰であるかに気づき——
■主要登場人物
・山瀬 平三郎（やませ へいざぶろう）
本作の主人公。川越藩秋元家の小姓組で書物番を務める若侍。温厚でおっとりした性格で、「放心癖」があり、些細な物忘れや失敗が多い。
・八重（やえ）
平三郎の小間使い。几帳面で主人思いの女性。右手の小指が生まれつき内側に少し曲がっている。
・山瀬 新五兵衛（やませ しんごべえ）
平三郎の父。川越藩秋元家の中老を務める。温厚で穏やかな人物で、息子の放心癖にも寛容。平三郎の八重への求婚には困惑しながらも、最終的には受け入れようとする。
・なお女（なおじょ）
平三郎の母。息子を深く愛し、八重を小間使いとして世話係につけた。八重を実の娘のように可愛がり、行儀作法や読み書きを教えていた。
■平三郎の縁談に関わる人物
・鹿島 主税（かしま ちから）
阿部山城守家の家臣。平三郎の父・新五兵衛の友人であり、縁談を仲介する。芝方左内の娘・早苗を平三郎に紹介する。
・芝方 左内（しばかた さない）
阿部家の用人。娘・早苗を平三郎の嫁にと望み、彼を家へ招く。家庭は裕福で、庭も手入れされている。
・芝方 早苗（しばかた さなえ）
芝方左内の娘。平三郎の婚約者として紹介されるが、平三郎は彼女をほとんど見ようとせず、母親を見て「この母の娘ならよい」と判断する。結局、婚約は破談となる。
■八重の故郷の人物
・吾八（ごはち）
八重の兄。武骨で誠実な人物。
■用語集
・家扶（かふ）
家を支える者、または家族を助ける役割を果たす人を指す。特に、家計を支える者や後継者を意味する場合がある。
・惘然（ぼうぜん）
呆然として、何も考えられない状態。驚きや失望、喪失感などで心が空虚になった様子を表す。
・朴訥（ぼくとつ）
素朴で飾り気がなく、不器用ながらも誠実な性格を指す。派手さや弁舌の巧みさはないが、誠意や実直さが感じられる人物を表現する言葉。
■目次
0:00 小指 一
5:47 小指 二
11:27 小指 三
17:50 小指 四
23:51 小指 五
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