「報道機関に勤めている意識ないのでは」FNN各社が厳しい指摘…カメラなし社長会見「まるで言論統制」フジ報道局長「力不足。覆せなかった」【フジテレビの反省】
第三者委員会による調査が進む中、番組では「フジテレビの反省」と題し、一連の問題を巡るフジテレビの対応についてシリーズでお伝えしています。
先日、FNNと呼ばれるフジテレビと全国の系列局との会議が開かれました。
今回の問題で、系列局にどのような影響が広がっているのか取材しました。
先日、青井実キャスターが訪れた福島テレビの本社。
スタジオでは、あるニュース企画のリハーサルが行われていました。
青井実キャスター:
「守ろう!福島の命」という企画を放送していると。
福島テレビ・鈴木延弘取締役:
これは月に1回は必ずやる企画。震災と原発事故をきっかけに始まり、そこから派生して防災全般を扱います。
この防災企画は、被災局としての“責任”と“決意”のもと、被災直後から放送を続けています。
そうした中…。
福島テレビ・鈴木延弘取締役:
やはりCMがキャンセルになっている。今のところ22社からキャンセルが出て(2月中旬時点)、もちろんお金をもらえない。
青井実キャスター:
取材や番組制作において、どんなところに影響が?
福島テレビ・鈴木延弘取締役:
(この状況が)長引いていけば、取材の人員や機材にも影響が出る可能性はある。
原因は、元タレントの中居正広氏と女性とのトラブルを巡るフジテレビの一連の対応。
問題の影響を受けた福島テレビは、系列キー局のフジテレビへのメッセージとして「報道機関に勤めている意識がないのでは」と投げかけました。
窮状を訴えるのは、福島だけではありません。
福井テレビ:
(関係先に)フジテレビとは別会社ですという説明をしたんですが、「いや、一緒でしょ」と(言われた)。ひとつ間違いがあると、東京よりも地方にボディーブローのように影響が及ぶのでは。
こうした声が相次いだのは、FNNの加盟各社。
FNNとは、北は北海道から南は沖縄まで、全国28の放送局が結んでいる報道部門のネットワーク。フジテレビを中心に、取材や放送の協力などをお互いに行うというものです。
先日、この28社の担当者が一堂に集まる会議の場に、取材カメラが入りました。
そこでは、各局からフジテレビの対応に対し、一様に厳しい指摘が相次ぎました。
沖縄テレビ:
中居氏の番組の扱い、これを終了させられなかったことは(影響が)大きく、(FNN)系列全体のイメージダウンにつながっていると思う。
福島テレビ:
大げさかもしれないが、私個人は“FNNの崩壊の始まり”ではないかというくらいの危機感を持っている。
崩壊の始まりとの声に加え、FNN加盟各社が最も問題視したフジテレビの対応が、1月17日に当時の港社長らが行った1回目のいわゆる「クローズド会見」でした。
NST新潟総合テレビ:
会見のあの静止画をモニターで見た瞬間、私は思わず声を上げました。(まるで)言論の統制をしている表現の自由がないような。FNNの信用だったり、信頼度が失われた瞬間だったなと思う。
関西テレビ:
ああいう形になってしまい報道機関としての“自殺”ともいわれるが、視聴者から見ると、フジテレビも関西テレビも見分けがつかない人が多い。
北海道文化放送:
きっちりとクローズではない形で、会見をできないのかという声を上げられなかったことが、私たちも悔やまれる。もうフジテレビ1社の問題ではなく、系列全体に関わる問題なので。
東海テレビ:
(あの会見形態が)プライバシーが理由ということであれば、収録、あるいは生放送・生配信のNG、それだけで済んだというのは、テレビマンとしては当たり前の感覚なんですけど、なぜ通らなかったのか、どうしてもふに落ちない。
17日の会見は、なぜクローズドな形式となったのか。
フジテレビ報道局の平松秀敏編集長は、「私は多分、記者会見で経営陣がカメラの前で醜態をさらすのがイヤだからクローズドにしたんじゃないかと、僕個人は真相をそうみています。だから経緯、本当に何があったのか、私は社員でフジテレビの人間ではあるが、ぜひ第三者委員会に明らかにしてほしい」と述べました。
さらに、フジテレビ報道局の渡辺奈都子局長は、「ただただ、自分の力不足を恥じるばかりでございます。本当に申し訳ありませんでした。事前にクローズの形だということを聞きつけまして、私だけじゃなく、言うべき声を上げたり、進言した者はもちろん多くいるんですけども、それでも覆らなかった。それでも覆さなければいけなかった、どんなことがあっても」と述べました。
さらに各社からは、フジテレビの企業風土についても指摘がありました。
テレビ静岡:
明るく楽しいテレビ番組を作ってきたフジテレビの企業風土、それに僕ら系列局も恩恵をこうむってきた部分もすごくあるが、トラブルを拡大させた元凶となっているのであれば、ここが改善の機会。
長野放送:
報道を軽視するというか、ローカル局を軽視するというか、そういった“風土”みたいなものは、ちょっとやはり感じてしまう。そのあたりが問題の本質というか、本丸の気がしている。
求められた企業体質の変化。
フジテレビの清水賢治社長は、「現場を知る社員の生の声に耳を傾け、課題を徹底的に洗い出し、問題構造の把握を行った上で、外部専門家の知見も取り入れながら、人権尊重の徹底、企業風土改革、ガバナンス強化等を進めてまいります」と述べました。
青井実キャスター:
各局の現場を取材する中で今、信頼が失われているという声もありましたし、今回、福島テレビさんを取材させていただきましたが、地域で、福島で被災局として継続取材を地域の人たちと向き合ってしなければならない。それを断念しなきゃいけないことを危惧している姿、それは本当に重く受け止めました。
企業体質の変化が求められている中で、見ている人たちのフジテレビへの思い、そしてフジテレビの社員の人たちのフジテレビへの思い。そういったことをくみ取って、寄り添ってそれに応える形になってほしいなと改めて思いました。
フジテレビは先週、6つの施策について着手していることを発表しています。
「コンプライアンス体制の実効性の強化」
「コンプライアンス違反などの処分の厳格化」などです。
そういった中、「会食・会合ガイドラインの策定」については、社内のルールが設けられ、現在、全社員に周知・徹底がなされて運用が始まっているところです。
ただ、「フジテレビの反省」の企画について、先週の会議ではFNNの各局からもう少し踏み込んだ取材・検証をすべきだというお話もありました。
先日の清水社長の会見でもその趣旨が語られましたが、現在、第三者委員会に調査を託している立場であり、独自の調査や報道は第三者委員会の調査対象に影響する恐れがあります。
その中でもお伝えできることを、第三者委員会の調査結果を待たずに、番組内でしっかりお伝えしていきたいと思っています。
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