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自分の機嫌を自分で取る方法 / How to get yourself in a good mood.

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01:58 ファルト・ダァ(糸巻き遊び) 06;07 自分の機嫌を自分で「取らない」とは 07:03 創意工夫のひとり遊び 今日は「自分の機嫌は自分で取る。人に取ってもらおうとしない方法」をテーマにお話しします。 みやぞんさんの「自分の機嫌は自分で取る。人に取ってもらおうとしない」という言葉は素晴らしいですよね。 動画の中でひろゆきさんは「これができる人は日本人では少ない」と言っていましたが、日本人だからフランス人だからということではないと思います。 これは1つの「成熟」の目安です。 成熟していき、自分の感情をコントロールできるようになると、このような発言が出てきます。 ですからみやぞんさんという人は、素晴らしい人なのかなと思いました。 (医師の診断ではなく個人的な意見です!) そこで、このように考えられるようになるにはどうしたら良いかを考えました。 これは先天的に決まっていることではなく、訓練でできるものです。 ■ファルト・ダァ(糸巻き遊び) 赤ん坊の時には、誰しも自分の機嫌を自分で取ることができません。 フロイトが1920年に書いた論文に、孫が遊んでいる様子から人間の心が成長する過程を考察した記録があります。「ファルト・ダァ」と呼ばれています。 1歳半のエルンスト坊や(フロイトの孫)は、母親がいない時に「糸巻き遊び」をよくしました。 「糸巻き遊び」とは、糸巻きを投げてそれを引いてくる遊びです。 「ファルトファルト」と言って投げ、戻ってくると「ダァ」と喜びます。 その様子を見たフロイトは、これは母親がいなくなったけれど自分の力で引き寄せて帰ってきた、それが嬉しいと思っている遊びではないかと考えました。 「いないいないばあ」と似ています。 「いないいない」と言って顔を隠すといなくなると思います。パッと手を開くと顔が出てくるので「帰ってきた」と喜ぶという遊びです。 「不安だったけれども、出てきて安心した」という遊びから、「手を開いたらまた会える」という確信に変わってくることで、「予想が当たった」という楽しみに変わる遊びだと言われています。 ファルト・ダァも同じです。 遠くに行ってしまう、もう戻ってこないと思うかもしれないけど、自分の力で引き寄せて「ああ、帰ってきた」と安心する遊びです。 これは「不在と再会」を遊びの中で理解しているのではないか、とフロイトは言いました。 赤ん坊は、母親が買い物に出かけるなどして不在になった時に、「自分におっぱいやぬくもりを与えてくれるお母さんは、もう帰ってこないかもしれない」という不安に襲われます。 ですが、いつも帰ってくるのだから今回も帰ってくるだろうとだんだん理解していきます。 それを体に覚え込ませるために、糸巻き遊びを何度も繰り返しているのだと言うのです。 これは有名なエピソードで、精神科医や心理士は心の内に留めている印象的なシーンです。 <遊びの重要性> この話にはいろいろな示唆が含まれています。 1つは「遊び」が重要ということです。 遊びの中で、僕らはトラウマや何か受け入れられないことを理解していきますし、同時に遊びの中で将来に繋がる力を身に付けていきます。 ・コロナいじめ コロナで不安になった子供が、コロナにかかった友達に「コロナ」というあだ名をつけていじめることで、コロナの不安を解消しようとすることがあります。 人間にはそのようなことがあるのです。 不安を外にぶつけ(投影して)、その投影したものを現実的に「具体的なもの」として扱うことで、自分の内的な世界を回復させるということをします。 ■自分の機嫌を自分で取らないとは 「自分の機嫌を自分で取る」というのは、糸巻き遊びをするということです。 では「自分の機嫌を自分で取らない」というのはどういうことでしょうか。 ・依存(アルコール、ギャンブルなど) これは直接的な他者を通じて不安や不在感を解決してるわけではありませんが、物質的な快楽を通じて自分を慰めようとしています。 結果、どんどん不幸になっていきます。ですからあまり良くないパターンです。 ほどよく他者と依存し合わなければいけません。 ・強迫(何度も確認) 不安や不在があったときに、何度も何度も確認します。 何度もLINEをチェックする、何度も電話してしまう、何度も鍵を確認するなどの強迫性になったりします。 ■創意工夫のひとり遊び そうではなく、僕らは自分の機嫌や感情をコントロールするために、依存でも強迫でもなく、創意工夫のひとり遊びや、他者とほどよく付き合いながら自分で自分の機嫌を取る必要があります。 無人島に流された主人公が、バレーボールに顔を描いてウィルソンと名付けて話し相手にする「キャスト・アウェイ」という映画がありました。これもごっこ遊びをしながら孤独を癒しているという図です。 自分の感情をどうコントロールすれば良いのかというのは、赤ん坊であれば糸巻き遊びであるし、大人であれば創意工夫の中で一人で何かをやるというトレーニングをしていくことが重要です。 アルコールやギャンブルに逃げるのでもなく、強迫的に何かにくっついていこうとするのでもなく、自分の内的な空間で創意工夫をしながら遊ぶことが非常に重要です。 僕はお笑い芸人の方をとても尊敬しているので、みやぞんのエピソードには詳しいのですが、やはりみやぞんさんのこの言葉は彼の人生やエピソードにすごく表れています。自分で楽器を弾きながら歌うというのは、究極のひとり遊びです。 皆さんに同じことをするように言うわけではありませんが、創意工夫は重要なことなので参考にしていただければと思います。 今日は、「自分の機嫌は自分で取る。人に取ってもらおうとしない方法」について解説しました。 ---------- ゼロから学ぶ。アルコール依存症について症状から治療法まで解説します https://youtu.be/1CQDxPQ1fFo 強迫性障害のメカニズムから治療まで、概略を解説します https://youtu.be/Th_ervtNTUs ---------- 『精神科医がこころの病気を解説するChとは?』  一般の方向けに、わかりやすく、精神科診療に関するアレコレを幅広く解説しています。動画における、精神分析や哲学用語の使用法はあくまで益田独自のものであり、一般的(専門的)な定義とは異っているところもあります。僕がもっとも説明しやすいとたまたま感じる言葉を選んだだけなので、あまり学術的にとらないでいただけると嬉しいです。                  早稲田メンタルクリニック院長 益田裕介 『自己紹介』 益田裕介 防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。 趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。 2020年6月5日より断酒継続中。 【参考】 厚労省みんなのメンタルヘルス https://www.mhlw.go.jp/kokoro/ カプラン 臨床精神医学テキスト第3版 #成熟とは #依存症 #強迫

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