古(いにしえ)坂 (Inishie Zaka) 長谷川きよし(Kiyoshi Hasegawa) 林正樹(Masaki Hayashi) Andy Bevan 仙道さおり (Saori Sendou)
長谷川きよし (Vocal & Guitar)
林 正樹 (Piano & Arrangement)
Andy Bevan (Tenor Sax Flute & Dizi=chinese flute)
仙道さおり (Percussions)
江古田 BUDDY 2013/06/17
来年はデビュー55周年だそうです!
2/11のコンサートの後に受けた取材の記者に言われて、50周年をなんとか終えて、
コロナになって、3年丸々何もしないでいる間にそんなことになっていたんだと
驚いてしまいました!
その55年近くの中で、もしかしたらこれはぼくの代表作(というのは受け取る側が決める
ものなのでしょうが)の一つなのかもしれないと改めて気が付いたのが、今回アップロー
ドする寺井玲子作詞の「古(いにしえ)坂」。
72年に5枚目の作品として発表したアルバムに収録したこの「古(いにしえ)坂」は、当
時(多分)高校生だった寺井さんが書いたものです。
今回アップロードするに当たって、やはり彼女の了解を得たいと思って、出版社に何十年
ぶりかで連絡先を調べてもらったところ、すぐに連絡が取れて、長いブランクを埋めるお
話ができました。
とにかくこの壮大なテーマで、細かな場面設定もしっかりできている大作をどうやって高
校生の女の子が書けたのか?その謎については、さすがに50年も前の話で、彼女自身もは
っきり認識できていないようでした。
「あの峠の向こうは瀬戸の青い海か、讃岐の山か」
そんな峠は彼女の生まれ育った町にはあったのだと思います。それにしても…?です。
今となっては、この素晴らしい詩がどうやってぼくの手元に届いたのか、それも記憶の
彼方です。この曲にまつわる話題はまだあるのですが、話が長くなりすぎるので、
ぼくのオフィシャルサイトの掲示板(bbs)のほうに書くことにします。
(掲示板)
http://kiyoshi-hasegawa.net/cgi-local/kiyoshi-bbs.cgi?
大作ですが、じっくり味わってみてください。
(長谷川きよし)
古(いにしえ)坂
寺井玲子 作詞
長谷川きよし作曲
古(いにしえ)坂を荷車引いて
男がひとり 登って行くよ
もう少しで 坂を登りつめて
向こうへ 下りて行く
もう 見えなくなった
荷車のあとを 風だけ吹いて
追いかけて行く
あの峠の向こうは
瀬戸の蒼い海か 讃岐の山か
いつも見てる あの女の子は
向こうへ 行きたいのだろう
古(いにしえ)坂は 風だけ吹いて
地蔵も寒いと 泣いているだろう
あなたは 向こうへ下りて行く
わたしは こちらを下りて行く
古(いにしえ)坂を 下りて行く
外郎餅(ういろうもち)売りが
長い売り声を休めて 汗を拭き
海を見てみようと 腰をおろした
樹蔭(こかげ)の小さな岩場
スニーカーの女の子
六百年の樹蔭(こかげ)だ
粋に別れた あいつと別れた
もう馴れっこの わたしが ああ粋に別れた
笑って別れた 娘と別れた
野良仕事に行く父親が 笑って別れた
仕方がないと 小町と別れた
粋なンー旅役者が 仕方がないと 別れていった
だまって別れた 姉(あね)さんと別れた
解散した子分共が だまって別れた
泣き泣き別れた お父(とう)と別れた
身売りの娘が 泣き泣き別れた
秋風の吹きはじめた
古坂を みんなそれぞれ 別れていった
からすが一羽 枝にいた
すずめも 二、三羽 枝にいた
古坂の古松に ひからびた蛙も枝にいた
古(いにしえ)坂なんて どこにもない峠
そのくせみんなが 知ってる峠
だってね みんなそれぞれあなたの中の
古(いにしえ)坂を 越えて行くのさ