1994年(平成6年)10月24日発売の松任谷由実26枚目のシングル。
26枚目のオリジナルアルバム『THE DANCING SUN』にはalbum mixを収録。
松任谷由実のシングルとしては『真夏の夜の夢』『Hello,my friend』に続いて3番目に売れたシングルである。
同名のNHK連続テレビ小説の主題歌。カップリングなしの500円シングルとして発売された。
オリコンチャートの登場週数は22週、チャート最高順位は週間1位、累計116.4万枚のセールスを記録した。
今回使用したLIVE音源のピアノは40年ユーミンのコンサートを支え続けている武部聡志。
作詞・作曲:松任谷由実
編曲:松任谷正隆
春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに
愛をくれし君の なつかしき声がする
実際にやってくる春と、心の中の懐かしい春。そしてまだ見ぬ未来の春。
この曲には、そんな3つの春があるみたいだ。
淡き光立つ 俄雨
いとし面影の沈丁花
溢るる涙の蕾から
ひとつ ひとつ香り始める
沈丁花は「2月末ないし3月に花を咲かせる」とのことだから、この歌詞はきっと春が間近な時期が舞台になっているのだろう。描かれているのは、「実際の春」。
それは それは 空を越えて
やがて やがて 迎えに来る
春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに
愛をくれし君の なつかしき声がする
主人公が思い出しているのは”愛をくれし君”の思い出。それはきっと春のことで、春がめぐるたびに主人公はそれを思い出すのだろう。
「実際の春」がやってくるたびに、主人公は「思い出の春」を思い出している。2つの春がリンクし合っている。
君に預けし 我が心は
今でも返事を待っています
どれほど月日が流れても
ずっと ずっと待っています
主人公は「君」に心を奪われて、思いを伝えたんだろう。けれど「君」からいい返事はもらえなかった。主人公はいまでもそれを思っていて「今でも返事を待っています」と言っている。
それは それは 明日を越えて
いつか いつか きっと届く
春よ まだ見ぬ春 迷い立ち止まるとき
夢をくれし君の 眼差しが肩を抱く
1番ではここは「春よ 遠き春よ」という表現だった。「遠き春」という言い方から、春が遠い過去のものであることが暗示されている。
2番では「春よ まだ見ぬ春」に変わる。「まだ見ぬ春」ということは、春は過去ではなくて未来のものだということだ。
3つ目の春「未来の春」だ。
「実際の春」「過去の春」「未来の春」と3つの春がリンクしながら「君」への思いが募る。
「思い出の春」は遠い恋の切ない記憶。「未来の春」はどうだろうか。
主人公が夢の叶った未来を思い描いているのだと考えたい。
#春よ来い
#広瀬すず