【音楽ガチ分析】初星学園『Luna say maybe』~ 作曲家の視点から深読み考察‼ 2種のコード進行に隠された意味⁉ 音楽がストーリーと同期する驚きの表現
作曲家のトイドラが、学園アイドルマスターから月村手毬のソロ曲『Luna say maybe』を分析します。
今回はワンコーラスだけではなく、フル尺での分析です。
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【関連動画】
「トニカル・メロディ」とは? → https://www.youtube.com/watch?v=JY4wGHjhVFs
amazarashiのメロディ分析 → https://www.youtube.com/watch?v=nbTQpLkt43w&list=PLebUHhjdzqlwz9M8ZiTnNaZqdlwtMmV2W&index=8&t=505s
5:49 1番
32:02 2番~間奏
47:38 ラスサビ~アウトロ
☆☆☆訂正☆☆☆
45小節目のコードは「Am7」ではなく「A♭m7」です!
〈美波〉
エモーショナルかつ情熱的な音楽性に定評のある女性シンガーソングライター。
ギター弾き語りを得意とする。
〈真船勝博〉
様々なバンドにて活躍するベーシスト。
ライブサポートやレコーディング、楽曲制作、演奏レッスンなど非常に広く活動している。
〈徳澤青弦〉
ソロ活動のほか、複数のバンドユニットでも活躍するチェロ奏者。
舞台・放送関係の音楽制作・オーケストラ編曲も多数行う。
〈武嶋聡〉
様々なバンドにて活躍するマルチリード奏者。
ライブサポートやレコーディング、楽曲制作でも広く活動している。
〈総評〉
【楽式】
・Aメロ→Bメロ→サビ。
→間奏+Cメロ+落ちサビつきと豪華。
・展開が多く、単なる繰り返しがほぼないため劇的。
→2回あるBメロはそれぞれ異なっている。
3回あるサビも全て微妙に違う。
→間奏やアウトロすら展開が複数ある。
→ラスサビでは特に、あらゆる展開が押し寄せてくる。
【リズム】
・ドラムパターンがものすごく豊富で飽きない。
・符点8分の連続による部分的ポリリズムが細かくちりばめられ、印象的。
→イントロのギターリフ・ピアノ伴奏・サビの台詞部分など。
・キメのリズムが非常に多い。
→1番Bメロ、Cメロ、ラスサビなど。
→アイドルソングでは鉄板。
・ラスサビに近づくと、2小節にわたるような長いフィルインが惜しげなく挿入されカッコいい。
【メロディ・和声】
・メロディの比重がかなり大きい。
→間奏やアウトロにまで歌がみっちり詰め込まれている。
→コード進行は割と普通だが、メロディが非常に激しくキャッチー。
・メロディもコードも直截なトニカル・メロディ。
→ペンタトニックを使っているので、「ド・ミ・ソ」の他「ラ」もよく出てくる。
→オシャレなオンコードやテンションが頻出。
・ベースが要所でメロディックな動きをして印象的。
→特にラスサビ。
→昨今のロック系のアイドルソング&アニソンでは定番のベースライン。
・コード進行は456進行中心で、比較的シンプル。
→定番の「IV - V - VI」と、より煮え切らない感じの「IV - V - I/II」との対比で雰囲気を構築。
・要所で使われるドリアIVが効果的。
→やや子供っぽい甘えるような印象。
月村手毬のキャラクターを効果的に表現。
・あからさまな半終止からの弱進行が甘やか。
→1番&2番のサビ終わりなど。
→邦ロックやアニソンでは定番。
・細かいリハモが非常に多い。
→トニカル・メロディのなせる業。
【オーケストレーション】
・Tpt.+T.Sax.
→Tpt.単体よりもギラッとした目立つホーンセクションに。
・前奏&間奏&アウトロにだけ出現する Cl.+Fl.の木管。
→吹奏楽っぽさを香らせる。
・ホーン&ギターは、進行感を与えるリズム楽器として活用。
→ホーンセクションは細かいスタッカート、リズムギターはほぼ常に細かいカッティング。
心地よい粒感を与える。
→切なく内的な曲なので、ストリングスのロングトーンなどによって進行感が失われやすい。
うまくバランスを取っている。
・Gt.のP.M.+Vn.のpizz.
→奏法を合わせていて面白い。
【表現】
・2つのコード進行モチーフを対比させ、前向きに進みたい気持ち&トラウマを引きずって後ろ向きになってしまう気持ちを歌詞と対応させて表現。
→前向きのモチーフ「IV - V - VI」、後ろ向きのモチーフ「IV - V - I/II」
→前奏出だしは後ろ向きだが、2回目の繰り返しでは前向きに(その後また後ろ向きになるが)。
ドラムビートの変化も相まって、自分の気持ちに素直になって前へ進みたいというテーマを体現。
→1番Aメロは前向きだったが、2番Aメロの終わりでちょっと後ろ向きに。
→サビ出だしは前向きだが、セリフ部分で後ろ向きに。
→ラスサビだけはセリフ部分が前向き。
・猛烈な歌唱量で、月村手毬のキャラクターをそのまま表現。
→Aメロから息せき切ったような余裕がないメロディ。
→間奏やアウトロなど、通常歌わない部分でも歌い続ける。
アウトロ最後の最後までロングトーンで歌うことをやめない。
・コード進行の種類が少ないからこそ、他のモチーフがスッと入ってくる。
→コード進行モチーフ・豊かなドラムやホーンセクション等による演劇的効果。
→レチタティーヴォ的なヴォーカル。
☆もはやオペラに近い。
・歌詞と音楽が緻密に対応してストーリーを形作っている。
→曲先ではできない芸当。
作曲者がシンガーソングライターなので、曲と歌詞を同時に発想していることが分かる。
・月村手毬の短所を敢えて前面に押し出すような作りの楽曲で、かなり尖っており示唆的。
→妥協できず全力を出し過ぎてしまう性格に対し、息継ぎの少ない高負荷なヴォーカル。
→強情で我慢ができない性格に対し、自分の歌で埋め尽くすような押しの強い楽曲構成。
→短所を抑え込むのではなく、長所として爆発させてほしいというメッセージ。
「正真正銘の私」を受け入れることで真のアイドルになることができる(re@lly)。
・編成が巨大で、重厚なバッキングがとても豪華。
→バンド編成+オケ+ホーン。
→吹奏楽っぽさを匂わせ、青春の青さを想起させる。
→音楽に興味がない人も触れるであろうコンテンツで、ここまで音楽の質にこだわるのはすごい。
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作曲家のトイドラ → https://tomita-haruki.studio.site/
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