78rpm / Victor - 13033/4(704/7) , on HMV-163 gramophone
『千鳥の曲』は、吉沢検校(よしざわ けんぎょう/二世)が幕末に作曲した筝曲(そうきょく)。本来は胡弓と箏の合奏曲.
『古今和歌集』、『金葉和歌集』から千鳥を詠んだ和歌二首を採り歌とし、器楽部である「前弾き」(前奏部)および「手事」(歌と歌に挟まれた、楽器だけの長い間奏部)を加えて作曲したもので、吉沢自身が考案した「古今調子」という、雅楽の箏の調弦、音階を取り入れた新たな箏の調弦法が使われている。
塩の山 差出の磯に 住む千鳥
君が御代をば 八千代とぞ鳴く
『古今和歌集』より 詠み人知らず
淡路島 通う千鳥の 鳴く声に
幾夜寝ざめぬ 須磨の関守
『金葉集』より源兼昌(みなもと の かねまさ)作
「差出の磯(さしでのいそ)」とは、山梨県山梨市の中心部、笛吹川沿い位置する景勝地のこと。笛吹川側から見ると突き出て(差し出て)おり、内陸部にありながら海辺の磯のように見えるところから「差出の磯」と名付けられた。