ずっと青空を見ていません。雨の気配が続く、そんな日々の中で、雨でも楽しめるものを探していました。 辿り着いたのは信越トレイルでした。 以前、苗場山登山の動画に、にしやんさんがコメントしてくださって、それで、このトレイルの存在を知りました。 全長110キロ。斑尾山から苗場山へと続く長いトレイルは、セクション10に分かれています。 近年、宿泊施設やテントサイトも整備されていて、ハイカーを迎え入れる準備は万全です。 その中でも私の心を掴んで離さないのは、セクション9です。 そのコース概要を読み込むたびに、何かが胸の奥で響いてきます。 スルーハイクと呼ばれる通しで歩くスタイルもありますが、私にはセクションごとにじっくりと時間をかけるハイクが性に合っていると思います。セクション9は、山道と車道を交互に歩き、集落から集落へと拾い歩くようなコースで、稜線あるきや縦走が好きな人にはイマイチかもしれません。 しかし、このコースは、秘境とよばれる秋山郷をまさに「五感」で感じられるすばらしいコースでした。 そこで、「私の信越トレイル」と銘打って、いつになるか分からないけど、シリーズ化していくことを試みようと思います。セクション9と10は歩いたので、まだ1~8まである! セクション9は、結東~見倉~大赤沢~小赤沢の区間です。 長大なトレイルは、起終点が違うルートになるので、どのようにアクセスするか悩ましいのですが、結局、結東のかたくりの宿に車を止めて、小赤沢まで歩き、小赤沢の苗場荘さんで一泊して、ピストンするつもりで出発しました。 かたくりの宿で、職員さんに車を止めたいと言いますと、トレイルの方ですね!と快く了承くださいました。 実はまた失敗をやらかしてしまいました。この旅の途中、私はスマホを落としてしまったのです。 その時は、見倉のトンネル近くに差し掛かっていました。信越トレイルはトンネルを巻くように山道を進んでいくのですが、トンネルの入り口で地図を確認するためにスマホを取り出し、トンネルを抜けた後にもう一度確認しようとしたところ、スマホがないことに気づきました。つまり、その区間で落としたということです。 実はスマホを2台持っているのですが、もう1台は車に置きっぱなしでした。だから「iPhoneを探す」機能も使えず、落とした区間は1〜2キロほどありそうで、ただ探しても簡単には見つからないだろうと思いました。電池がもってくれるといいな、と探すのは翌日にして、そのまま歩みを進めました。 スマホに頼りきりで、私は紙の地図を持っていなかったため、頼れるのは「かたくりの宿」で受け取ったパンフレットのみ。 信越トレイル自体は標識がしっかりしているので迷うことはありませんでしたが、このせいで甘酒村跡を見逃し、泊まる予定だった苗場荘さんもわからず、先に小赤沢温泉「楽養館」に着いてしまいました。 しかし、地域の方々がとても親切で、楽養館の方が苗場荘さんに連絡を取ってくださり、さらにお風呂から上がると車で送ってくれました。出発時にGPSをオンにしていたので、いつも通う居酒屋のオヤジに連絡しなければ遭難扱いになるかもしれないと思い、苗場荘さんの電話をお借りして無事に連絡も済ませました。 スマホがないことの良い点もありました。触らずに済むことで、秋山郷の静かな夜を心から満喫できたのです。 ただ、見つからない場合、スマホを復活させるにはお金も時間もかかると考えると、少し憂鬱でした。 この旅の計画は、実は前日に決行を決めたものでした。3軒の民宿に断られ、4軒目の苗場荘さんでようやく予約が取れました。 たまたま、雨で苗場山登山を予定していたお客さんがキャンセルになったおかげでした。 私のほかには、おじさん4人組が滞在していました。 農業高校の先生をされていらっしゃる方がいて、こちらへは、蝶などの虫の研究と農業技術指導で何十年も通っているとのことでした。いろいろお話していたら、翌日のかたくりの宿まで、車でおくってくださることに。一応、キックボードを仕込んでいたのですけど、10kmもの道のりをキックボードで帰ったら壊れるかもしれない、とうすうす思っていたので...本当にたすかりました。 そうして翌日、マイカーに戻り、もう一台のスマホでiPhoneを探したら、見倉トンネルの入り口あたりで点灯しています。いそいで現地に行き、点灯箇所に近づいたところで、「サウンド再生」したら...草むらの中に落ちてました! あれは、音が鳴らなかったら見つけることはできなかったでしょう。 電池残量2パーセント!ギリギリセーフ! のちに編集で映像見たら、ポッケから半分出ています...そりゃ落ちるわね。 撮影日:2024年10月5日(土)・6日(日)