「死ぬほどのことをしたのか」「声なき声に耳を傾けて」教育現場での“指導死”遺族が会見 第三者による調査や実態把握を訴え【news23】|TBS NEWS DIG
「指導死」という言葉を知っていますか?学校の教員からのいきすぎた指導で子どもが追い詰められ自ら命を絶つことです。自殺した子どもの約6割が原因不明とされていて、「指導死」も含まれています。遺族は会見で「実態を知ってほしい」と訴えました。
■“指導死”遺族らの訴え 「死ぬほどのことしたのか」
加藤碧さん。妹の誕生日を笑顔で祝った9か月後、悲劇は起きました。
碧さんの父 加藤健三さん
「おおらかというか、お兄ちゃんらしいところをよくを見せていて」
碧さんは2017年、東京・板橋区の城北中学校に通っていた中学1年のとき、自ら命を絶ちました。
加藤碧さん(小学校卒業式)
「毛利衛さんのような、宇宙飛行士になります!」
宇宙に興味を持ち、中学校では好きな水泳を部活に選んで、熱心に取り組んでいたといいます。その日は冬休みでしたが、補習と部活があり、碧さんは登校していました。
そして教員から「指導」を受けたおよそ15分後、命を絶ちました。
調査や検証を行った第三者委員会の報告書では、碧さんは亡くなる前日、年賀状を書くために教諭から聞いた住所をクラスの友達にも教えようとグループLINEに送り、そのことで「指導」されました。
第三者委員会の報告書(教諭の言葉)
「『とんでもないことをしてくれたな』」
第三者委員会の報告書
「教育的指導というよりは、まさに犯罪を行った犯人を捜すかのような手法」
碧さんは亡くなる当日にも、前日とは別件で「指導」を受け、報告書には「心理的に追い詰めるような威圧的な指導」だったことが記されています。
加藤健三さん
「『指導死』という言葉なので、(子どもが)悪いことをしたんでしょって一言で片付けられて。じゃあ、死ななきゃいけないほどの、追い詰められなければいけないほどの何かをしたのか」
父・加藤健三さんは6年たった今も、碧さんのことを思い続けています。
加藤健三さん
「食事も5食必ず作って、ずっとそれが当たり前なんですけど、うちは絶対にずっと5人家族なんで。身近な人にはよく言うんですけど、お店とか入って、『4名様ですか』とかって言われると・・・」
■実態不明の“指導死” 第三者による調査や相談窓口を
子どもの自殺をめぐっては、2022年度に小中高校生の自殺者数が514人となり、1980年以降最多となっています。
調査では自殺前に生徒が置かれていた状況も調べられていますが、およそ6割が原因不明とされています。「指導死」もその中に含まれているのです。
5月29日、加藤健三さんら「指導死」の遺族が会見を行い、「実態を知ってほしい」と訴えました。
弟・悠太さんを亡くした はるかさん
「原因不明の中に、私達の大切な家族が含まれてしまっているというのが、現状としてあります」
はるかさん(29)は10年前、札幌市の高校1年だった弟の悠太さん(当時16歳)を「指導死」で亡くしました。
はるかさん
「悠太には明るい未来が見えてたんだろうなっていうのを、すごく感じる写真で」
裁判で「指導死」が認められてもなお、学校側は原因が教員の指導にあったことを認めていません。
はるかさん
「(学校は)責任を逃れることしか考えてないっていうのが本当にショックで。その子が残した苦しみを聞かずに(自殺の)原因不明にチェックをする。それで、数だけを見るっていう、その子供の自殺の取り扱い方っていうのを変えたいという思いで」
はるかさんら遺族は「指導死」に関しての第三者による調査体制の整備や、行き過ぎた指導に関する相談窓口について周知してほしいと訴えます。
はるかさん
「声なき声に耳を傾けて、原因不明で終わらせずに、次の命を救うために検証していっていただきたい」
文科省は今年の調査でようやく「指導死」の実態把握に動き出します。
子どもの命を守るための対策が急がれます。
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