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☆あらすじ
「派遣社員？ …要するに正社員になれないバイトってことでしょ？」
合コンの席。
会社の同僚に頼まれ、“人数合わせ”として駆り出された俺だったが、 初めて対面した女性に、軽蔑の視線を向けられていた。
「うちは音大卒ばかりが集まってるから話が合うと思ったのに…。
派遣の人って、正直、音楽の話題についてこられるの？生活のレベルが違いすぎて、返って悪いかなってｗ」
たしかに俺は“中堅企業”の派遣社員。誇れることは高速タイピングぐらいだ。
「…悪いな、奏介」
同僚の亮太が申し訳なさそうに頭をかく。
その表情を見ていると、ここに居座るのはお互い気まずいだけだと思えてきた。
ならば早めに退散したほうがいいだろう。
「じゃあ、お先に――」
そう言って席を立ちかけた、その瞬間。
「ちょ、ちょっと待ってください！ あなたのファンです！サ、サインください！」
隣のテーブルから駆け寄ってきた女性が、俺にCDを差し出す。
散々俺のことを場違い扱いしていた彼女たちの表情が固まったまま動かない。
――名乗るつもりはなかったけれど、こうなってしまっては仕方ない。
「…昔の話ですよ」
この合コンで俺の人生が再び輝き出すことになるとは、この時はまだ知る由もなかった。
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