自己肯定感の回復、伸ばす方法 #早稲田メンタルクリニック #精神科医 #益田裕介 Recovery of self-esteem
00:00 OP
01:39 自己肯定感が下がる原因
03:15 原疾患の治療:薬で解決?
05:03 認知行動療法(CBT)?
07:51 複合技で良くしていく
09:30 目標も大事
本日は「自己肯定感の回復および伸ばすために」というテーマでお話しします。
精神科の臨床をしていると、ほとんどの患者さんは「自分は自己肯定感が低くて」「自分に自信がなくて」と言います。
自分に自信があるけれど通っているという人は、統合失調症の人の慢性期の誇大妄想や双極性障害の人の躁状態など、一部の疾患に限られると思います。あとは、アルコール依存症やギャンブル依存症の人が否認する時もそうかもしれません。
基本的には、自分に自信を持てない、落ち込んでいる、自分のことをダメなのではないか、と思っています。
もちろん、誇大的な様子も自信のなさの裏返しだったりするのですが。
ですが、人間は健康状態が悪ければ自己肯定感は下がるものです。
じゃあ病気を治せば良いのだという話になるのですが、精神科の病気を治すのは難しいです。
今回はその辺をざっくりお話ししようと思います。
■自己肯定感が下がる原因
自己肯定感の本質とは何かと言うと、本質は病気の問題や生い立ちの問題だったりします。
虐待があったために複雑性PTSD様の症状があり自己肯定感が低いこともあれば、うつになってしまい自己肯定感が低いということもあります。
相対的なこともあります。環境の中でもがいている。
環境の中で自分がうまくいっていないときに、自分はダメなのではないかと思ったりします。
若い人は急に社会に放り出されてうまくいかないことが多いわけです。それは普通なのですが、新卒文化がなくなってきているので、若い人と言いつつ中途採用の人と争わなければいけない状況もあります。
一人前になることをすごく求められる時代です。
いろいろな情報がすぐに入ってくることもありますし、マルチタスクを求められたりもしますし、スピードが本当に早いです。大変だなと思います。
と言って、若い人だからできるパソコンのスキルも妙に評価されず、かわいそうだなと思います。
このような相対的なことから自己肯定感が下がるということはあると思います。
■原疾患の治療:薬で解決?
精神科の場合は、まず病気の治療がとても重要です。
うつ病であれば抗うつ薬を使います。
女性に多いのがPMDD(月経前気分不快症)です。これは薬で結構良くなるので、治療をするのが大事です。隠れていて気づかれないパターンも多いのですが、生理前の気分の落ち込みをある程度解決してあげるだけで上手くいく方はたくさんいます。
あとはADHDです。発達障害の不注意、衝動性、多動性がある病気で、これも薬で結構良くなります。
発達障害のグレーゾーンの人から「発達障害だと診断してくれない」という話をよく聞きますが、僕は自尊心や自己肯定感の問題も含めて治療にあたるべきだと考えています。
「あなたクビになってないから良いでしょ」と言われても、職場で「お前はできないやつだ」とか「遅刻ばかりで真面目じゃない」「やる気がない」と怒鳴られたりいびられたりしていたら嫌なものです。そのうちうつになります。
やはり、うつになってからでなく治療をしてあげることが大事だと思います。
薬で解決できることも多いです。
薬で解決できるなら解決したほうがコスパが良いです。
肝負荷も腎負荷も精神科の薬は少ないです。
■認知行動療法(CBT)?
薬だけでは上手くいかない場合は、認知行動療法などで、認知の歪み、考え方、自分自身の心のOSをアップデートする必要があります。
では、認知行動療法では具体的にどのようなものを解決していくのでしょうか。
・問題解決スキル、コミュニケーション能力
1つは、問題解決スキルやコミュニケーション能力を伸ばすトレーニングです。
認知行動療法は認知療法と行動療法を重ね合わせたものです。認知行動療法プログラムというのは、色々な治療プログラムの合わせ技です。
その合わせ技の中に「問題解決スキルを高める」とか「コミュニケーション能力を高める」といったプログラムがあります。
問題解決スキルとは、ロジカルに考える、追い込まれずにリラックスして物事を考えるなど。アンガーマネージメントなどの感情コントロールのプログラムもあります。
コミュニケーション能力とは、アサーショントレーニングと言い、緊張をしないためのトレーニングだったりします。
・認知の歪み「それは相手が悪かったね」
白黒思考、0-100思考など、極端になっているものもあれば、「あの人にこう言われたから自分が悪いんだ」と言うのですが、冷静に聞くと「あなたはパワハラに遭っているだけで悪いわけではない」ということもあります。
「他の人はすぐできるけど自分はできないんです」と言う時も、「たまたま他の人ができるだけで普通はできないよ」ということもあります。
その会社の文化だから、学校の文化だから自分が変に見えるだけであって、一般社会に出たら普通のことだったり、第三者の目から見ると「それはあなたの問題ではなくて、相手の問題では?」ということがたくさんあります。
変な常識にとらわれて歪んでいたりするのですが、精神科医は利害関係のない第三者なので、そういう人から話を聞くと歪みを治していくことができたりします。
・心身のバランスを整える
きちんと規則正しい生活を送る、お酒を飲み過ぎていたら減らす、やめる。スマホをいじっているならそれを減らす。
マインドフルネスのようなことをすることもあります。
こういったことをやることで、自己肯定感を高めていきます。
■複合技で良くしていく
自己肯定感を高めるにはどうすれば良いですかと聞かれても、一言では説明がつきません。
色々なところで色々なものを伸ばしてあげなければいけません。
仕事がしっかりできることや問題解決スキルを高めていくと、自分はあれもできるこれもできる、と自信がついてきます。
料理ができなかった人ができるようになる。片付けができなかった人ができるようになる。
仕事ができなかったけれど、できる仕事が増えてきて上司に褒められる。
当たり前と言えば当たり前ですが、これがなかなかできなかったりしますし、場合によっては能力的に頭打ちのこともあったりします。
コミュニケーション能力もそうです。
一人でずっと溜めていたのが、誰かに相談できるようになる、自分の辛い気持ちをしゃべれるようになる、緊張せずにプレゼンができるようになる、それだけで結構自己肯定感は回復します。
でも、もともと口下手な人もいるでしょうし、虐待があると認知が歪んでしまっています。
自分はダメな奴なのでは、一生懸命やらないと見捨てられるのでは、努力してようやく一人前だからゆるゆるやってはいけない、負けちゃダメだ、など。
そんなことはないと、その歪みを治してあげます。
そうすると自己肯定感が回復するということもあります。
このように、いろいろな複合技で良くしていきます。
■目標も大事
「目標」も大事です。
楽観的になること、経験や知識を増やしていくといったことが、隠れた目標だったりします。
楽観的に考えないと不安になるわけです。
自分はこれではダメだ、老後2000万円問題、3000万円問題、貯金が…などと考えていると、仕事が上手くいっていてもやはり暗くなってしまいます。
でも何とかなるだろうと思っていれば、実際何とかなります。
何とかなると思っていれば良いわけで、自分はうまくいかないかもしれないけれどその時はその時だ、と思えれば良いのです。
経験や知識が足りない場合は、人から補ってもらうことが大事です。
そのような隠れたゴールがあったりします。
自己肯定感の回復や自己肯定感を伸ばしたいという質問はよく受けるのですが、なかなか答えは言いにくいのです。それはこれらの問題を複合的にやらなければいけないからです。複合的にやらなければいけないから、語っても語っても終わりがない、という感じです。
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どうやったら自分を理解できるのか? 自己理解とは何か?
https://youtu.be/ZW5XnVJrvL8
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一般の方向けに、わかりやすく、精神科診療に関するアレコレを幅広く解説しています。動画における、精神分析や哲学用語の使用法はあくまで益田独自のものであり、一般的(専門的)な定義とは異っているところもあります。僕がもっとも説明しやすいとたまたま感じる言葉を選んだだけなので、あまり学術的にとらないでいただけると嬉しいです。
早稲田メンタルクリニック院長 益田裕介
【自己紹介】
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。
2020年6月5日より断酒継続中。
【参考】
厚労省みんなのメンタルヘルス https://www.mhlw.go.jp/kokoro/
カプラン 臨床精神医学テキスト第3 https://www.medsi.co.jp/products/detail/3509
倫理規定について https://note.com/mentalyoutubers/n/nb130991f3fa4
【コメントについて】
・コメントは承認制です
・コメントは益田が目を通していますが、手が回らず、質問にはお答えできません。ご理解よろしくお願いします。
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