ゲーム音楽の吹奏楽編曲を中心に、作編曲を行っています。
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★ こちらの楽曲が初演されました!ぜひ演奏動画もご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=0oS9AsUoSJk
★ スコア表紙・サムネイルのイラストは、ニーさん(Twitter: @necolium)に描いていただきました!素敵な作品をありがとうございます。
【収録曲】
0:00 タイトルデモ〜ホウエン地方の旅立ち〜
0:44 タイトルデモ2〜ダブルバトル〜
1:00 タイトル〜メインテーマ〜
2:45 ミシロタウン
3:37 104番道路
4:17 ジム
4:54 戦闘!ジムリーダー
6:26 カイナシティ
7:39 日照り / 大雨 / めざめのほこら
8:19 戦闘!超古代ポケモン
9:13 すてられぶね
9:56 チャンピオンロード
10:06 決戦!ダイゴ
11:10 戦闘!フロンティアブレーン
12:42 エンディング
(これら以外にも何曲か入っています。ぜひ探してみてください…)
【制作の経緯】
私自身は、3年程前に吹奏楽の編曲を本格的に始めましたが、この3年間は、自作を演奏していただく機会にも恵まれ、非常にたくさんの経験を積むことができました。ゲーム音楽は、一般的に注目されにくいジャンルですが、吹奏楽を通してそうしたジャンルの魅力を多くの方に知っていただけるような作品を目指して、制作を続けてきました。
今回の『ホウエン・セレクション』は、私がこの3年程で得た知識や経験をすべて詰め込み、時間をかけて丁寧に仕上げた自信作です。約13分の長編ですが、ぜひ細部までじっくりと聴いていただき、演奏もお楽しみいただけると嬉しいです。
【アレンジコンセプト】
今回は、以下の3点を特に意識しながら制作しました。
① 音楽で表現するホウエン地方の冒険
17曲+αから成るメドレーですが、各曲が独立しないように、曲間の繋ぎや全体の構成を工夫しました。オペラやミュージカルのように、物語に音楽がぴったりとシンクロするようなイメージです。
全体はRSEのストーリーに沿って選曲・構成していますので、ゲームを追体験するような没入感を味わっていただけると思います。
② 原曲の再現ではなく「再構築」
編曲という言葉は多義的で、様々なコンセプトの編曲があり得ますが、とりわけゲーム音楽の編曲となると、どれだけ原曲に忠実かという点において評価されやすいです。
ですが私は「その編成で音楽を再構築する」編曲を目指したいと思っています。
このような考えから、今回の編曲においても、吹奏楽編成の強みを生かし、弱みを補うような方向性を採っています。具体的には、原曲と調性やオーケストレーションを変更している箇所もありますが、このような考えに基づいているということを前提に、聴いていただけると嬉しいです。
③ 無理なく演奏できる編曲
今回は、上記のように初演の予定が決まっており、「難易度は抑えめ」というオーダーもありましたので、アマチュアの奏者でも無理なく、そして楽しく演奏できるよう仕上げました。
やむを得ず難しくなってしまった箇所もいくつかありますが、基本的には、各楽器とも標準音域に収め、バランスよく活躍できるよう配慮しています。
● タイトルデモ〜ホウエン地方の旅立ち〜
ゲームを起動すると最初に流れる曲です。プレイしたことのある方なら印象的な曲ですね。原曲と比較すると、中音域に声部を少し追加し、響きを補っています。これから冒険が始まるワクワク感を感じさせる一曲です。
● タイトルデモ2〜ダブルバトル〜
RSは、シリーズで初めてダブルバトルが導入された作品でした。シリーズ恒例のオープニング曲のアレンジですが、コード進行が少し複雑にアレンジされていたりと、編曲者である一之瀬さんのセンスが光ります。
● タイトル〜メインテーマ〜
本作のメインテーマは、シリーズ初となる12/8拍子のアレンジでした。シリーズ恒例のモチーフに加えて、中間部には新たなモチーフが追加されており、非常に工夫されたアレンジとなっています。このモチーフは、最新作『スカーレット・バイオレット』のメインテーマでも使用されています。
全体の調性は、F durで始まり、中間部で転調を重ねながら、自然にGes durへ到達する流れが美しいです。
編曲に際しては、複雑に細かな声部が入り組む曲でしたので、適度に簡略化しながら原曲の雰囲気を損なわないよう配慮しました。
● ミシロタウン
主人公の暮らしている最初の町です。素朴なメロディーは原曲と同様にフルートのソロとしました。
最後は、同主調のf mollへ転調し、その平行調であるAs durへ自然に繋がるようにしています。
● 104番道路
序盤の道路で、イントロのスネアドラムが印象的ですね。今回は、ミシロタウンの最後からフェードインするような形にしました。
勇壮なマーチ風の曲ですので、原曲と同様、金管楽器を中心にオーケストレーションしています。
● ジム
ジムのアレンジは毎作品異なっていますが、GBA作品は共通してこのアレンジが使用されています。原曲の勇壮な雰囲気を生かしたアレンジです。
● 戦闘!ジムリーダー
増田節全開の戦闘曲です。イントロは短調ですが、その後はミクソリディアンスケールを軸に長調で展開されます。
バトルの楽しさ、ポケモンやトレーナーの生き生きとした様子をイメージしながら編曲しました。パワフルなホルンのメロディーがそうした雰囲気を象徴していると思います。イントロにはボールの並ぶ音(シュポポポポ…)も入れています。
最後は、Aメロのモチーフを使って転調させながら、カイナシティのモチーフへと繋げています。
● カイナシティ
RSEを代表する名曲で、作曲者である一之瀬さんもお気に入りの一曲のようです。港町の明るくキラキラとした雰囲気を感じられる編曲に仕上げました。
和声的には、イントロ以外で主和音が登場しない進行が特徴です。AメロでいきなりⅡmの和音から入るので、独特の切ない雰囲気を演出しているように思います。
最後は、四分音符のグロッケンと付点四分音符のチャイムを同時に鳴らすことでテンポ感を曖昧にし、メトリックモジュレーション(基準となる音価を変更すること)を自然に行っています。
● 日照り / 大雨 / めざめのほこら
伝説のポケモンをめぐるストーリーをイメージしたパートです。印象的な3曲のモチーフを組み合わせ、戦闘前の緊張感を表現しました。最後のキメは『めざめのほこら』に登場するリズムを引用しています。
● 戦闘!超古代ポケモン
冒頭のティンパニとチャイムが印象的な一曲。終始激しく打ち鳴らされるティンパニに主題が重なっていく独特な構成です。
こちらはORASのアレンジがかなり大胆でしたが、今回は、原曲と同様に、最低限の音数で緊張感を表現するようにしました。
● すてられぶね
知る人ぞ知る隠れた名曲ですね。シリーズではあまり有名でないですが、作曲者である青木森一さんの代表曲でもあります。
ミステリアスで美しいメロディーはオーボエのソロにしました。
● チャンピオンロード
原曲は疾走感あふれる12/8拍子の曲ですが、今回は、4/4拍子のファンファーレ風アレンジに仕上げています。決戦前の緊張感と高揚感をイメージしました。
● 決戦!ダイゴ
この曲については、戦闘曲が2曲連続するという点と尺の点から、後半部分をカットしています。残念に思われる方もいらっしゃると思いますが、全体を通して聴くとバランスの良い仕上がりになったのではないかと思います。
原曲の疾走感をできるだけ損なわないよう、リズムセクションの編曲に注意しました。
最後は、ブレーン戦のモチーフを使ったブレイクを挟んでいます。
● 戦闘!フロンティアブレーン
今回の編曲をするにあたり、絶対に入れたかった曲です。
メドレー全体の最後にもなりますので、大団円的な盛り上がりと華やかさをイメージしました。
ポケモンの戦闘曲といえば、増田さん作曲のエネルギッシュな勢い溢れる曲調という印象ですが、この曲は、そうした疾走感の中にも、聴き手を魅了するメロディアスな要素が含まれており、一之瀬さんのセンスが光る作品だと感じます。
冒頭は短調で始まり、重厚な雰囲気が続きますが、続く主題は二つの長調で展開されるなど、非常に物語性のある構成です。
● エンディング
RSEのエンディングを軸に、最後は、カイナシティのモチーフをホルンとチャイムが奏で、幕を閉じます。
音楽でめぐるホウエン地方の冒険をお楽しみいただけたでしょうか?
【編成】
Piccolo
Flute 1,*2
*Oboe
*Bassoon
B♭Clarinet 1,2,*3
*E♭Alto Clarinet
B♭Bass Clarinet
E♭Alto Saxophone 1,*2
B♭Tenor saxophone
E♭Baritone Saxophone
B♭Trumpet 1,2,*3
F Horn 1,2,*3,*4
Trombone 1,2,*3
Euphonium
Tuba
*String Bass, Electric Bass
Drums, Congas
Timpani
Percussion 1
(Sus.Cymb.)
Percussion 2
(Wind Chime, Tambourine, Crash Cymbals)
Percussion 3
(Glockenspiel)
Percussion 4
(Marimba, Xylophone, Chime)
*のパートはオプション。
【楽曲情報】
演奏時間:12分57秒
グレード:4(やや難)
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【使用ソフト】
● 浄書
Finale 27
● DAW
Studio One 5 Professional
● 音源
Note Performer 3 / Kontakt Factory Selection / MODO BASS 2 / Addictive Drums 2 / Wind Chime Premier G
● 動画編集
Shotcut