インターネット上にはびこる心無い言葉。「早く消えろよ」「死ね」「ブス」。これらの誹謗中傷を罰するため、先月「侮辱罪」が厳罰化されました。どう厳罰化されたのか、どんな時に適用されるのか?トコトン聞いてみました。
今回は刑法に詳しい甲南大学法科大学院 園田寿教授にお話伺いました。これまで侮辱罪で有罪判決を受けると「拘留(30日未満)」もしくは「科料(1万円未満)」と刑法で最も軽いとされていました。それが、先月7日~これまでの拘留もしくは科料に1年以下の懲役もしくは禁固、もしくは30万円以下の罰金、これらが加わりました。
罪が重くなったんですね。
そもそも侮辱罪はどんな時に当てはまるんですか?
侮辱罪が当てはまるのは【公然】と【人(法人)を侮辱】したとき にあてはまります。この【公然】はネットやSNSへの書き込みだけでなく、誰かに噂話として話すことも不特定多数に広めることにつながりかねないということで場合によっては当てはまることもあります。
ではここで問題です。
SNSで
①○○アナウンサー活舌悪すぎ
②○○さんはいつも原稿噛むし読み間違えるし、アナウンサー辞めたらいいのに
③○○アナウンサーなんかキモいから嫌い
と書き込みがありました。
どれが侮辱罪に当てはまる可能性があると思いますか?
答えはこちらです。侮辱罪は①。②は名誉毀損罪③いずれにも当てはまらない、可能性があるんです。
③も詳しく聞きたいのですが、名誉毀損罪と侮辱罪、①と②どう違うんですか?
順を追って説明しますね。
ではまず、名誉毀損罪と侮辱罪の違いから。侮辱罪が当てはまるのは先ほど説明した通りですが名誉毀損の場合は【公然】と【事実を適示して】【人(法人)の名誉を毀損】したときに当てはまります。
事実を適示して、とはどういうことか。先ほどの例題で見ると、②は「いつも原稿噛むし読み間違えるし」と、具体的な事案を挙げていますよね。これが「事実を適示して」ということです。ちなみにこの具体的な事案は事実でも嘘(捏造)であっても当てはまります。
では、③番について説明しますね。
侮辱罪と名誉毀損罪というのは個人(法人)の社会的評価、客観的名誉を守るための刑法です。この個人の社会的評価というのがカギになります。つまり、その人の仕事やどういった活動をしているか、出身地、立場などに関わる事で傷つけている場合は侮辱もしくは名誉毀損に当てはまる可能性があるんです。
①、②は個人の仕事に関わることを言ってるので刑法に当てはまりますが、③は個人の社会的評価につながらないので、当てはまらない可能性がある、ということです。
でも、③もすごく傷つきます。
でもそれは主観的な感情なんです。あくまでも、これは「刑法」つまり「犯罪かどうか」に当てはめた場合なので該当しないんです。
ただ、刑法ではなく「民法」に当てはめれば主観的な名誉感情も守られるので、③は民法上の不法行為に当てはまり損害賠償請求は可能です。
でもこうなると、侮辱罪の厳罰化がネットの誹謗中傷がおさまる事に繋がりにくいのでは…
園田教授も「侮辱罪の厳罰化によって、書き込む前にふと文章を読み返したり、一度立ち止まったりと、ある種の抑止力になるかもしれないが、誹謗中傷をなくすために刑法に頼りきるのは危うい。侮辱罪の厳罰化は同時に表現の自由を委縮させることに繋がるのではないか」と懸念を抱いています。
言葉は時として鋭利な刃物、刃物以上に人を傷つけるということをしっかりと胸にとどめて発言、発信することが求められます。
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