きょう2月22日は「猫の日」。愛らしい姿で私たちを魅了するネコですが、実は深刻な問題も引き起こしています。かわいいだけではない一面と、野生動物をネコから守る活動を取材しました。
港でくつろぐネコ。今では日常の風景にすっかり溶け込んでいますが、実は元々日本にはいない外来種なのです。ネコは、世界中の生態系に悪影響を及ぼしてきたと専門家は指摘します。
沖縄大学 山田文雄客員教授
「仏教の伝来や大陸との交流の中で、ネコは日本に持ち込まれた外来種です。(世界には)300種類ぐらいの希少種がいるんですが、そのうち14%、30種ぐらいをネコは絶滅させたといわれてます」
ネコは狩猟能力が高く、捕食以外にも遊びで獲物を狩ることがあるため、生態系への被害が甚大だといいます。そして、ネコは日本にしかいない「生きた化石」の大きな脅威となっていました。
鹿児島県奄美大島。貴重な原生林と広大なマングローブ林があり、2021年には世界自然遺産に登録されました。島には5000種以上の生き物が生息し、中でも「生きた化石」とも言われる世界的にも貴重な生き物がいます。
奄美大島と徳之島だけに住む固有種、アマミノクロウサギです。ウサギの特徴の長い耳はなく、ジャンプができないなど、原始的な形態を残しているために「生きた化石」と呼ばれています。しかし…
記者
「今、クロウサギの住む山の中をネコが駆けています。何かを見つけ、狙っています。獲物でしょうか」
人に飼われていたネコが野生化し、アマミノクロウサギを襲っていたのです。
人間が持ち込んだマングースや島の開発による環境破壊などで数が激減し、絶滅危惧種に指定されていましたが、さらに追い打ちをかけたのがネコでした。
奄美市・世界自然遺産課 平田博行課長
「ネコは奄美大島には元々いませんでした。(島民が)ネコを持ってきて、ネズミ対策などで増やしていったと思われます」
こちらは2021年に観光客が偶然、撮影した映像。クロウサギはネコに気付き、必死に逃げますが、いとも簡単に捕まり、のどを噛まれ、あっけなく殺されてしまいます。奄美大島には元々、肉食の哺乳類が存在せず、島の生き物はネコから逃げる能力を持っていないのです。
奄美大島ではネコから野生動物を守るための「ノネコ管理計画」を2018年から実施しました。
計画では、野外にいるネコを減らすために捕獲器を設置し、捕まえたネコはそのまま保護され、譲渡人を探すことになります。また、野外にネコが増えないよう、飼いネコについては室内飼いを推奨し、マイクロチップの装着と屋外に出す場合は不妊去勢を義務化しました。
そして、この計画が始まった2018年から2021年の3年間でクロウサギはおよそ6400頭と、大幅に増加しました。
しかし、計画が発表された当時は「ネコを殺処分するための計画」と批判が殺到したといいます。捕獲されたネコは1週間以内に譲渡人が見つからなければ、安楽死となりますが、譲渡活動も平行して行い、今までに殺処分されたネコは0匹です。
奄美市・世界自然遺産課 平田博行課長
「私達は殺処分ありきでやっている計画ではありません。計画に理解していただいて、ご協力いただければと思う」
奄美大島の伊藤獣医師は、ネコのためにも、野生動物のためにもネコの「室内飼い」が大事だと訴えます。
奄美いんまや動物病院 伊藤圭子獣医師
「ネコを外に出す理由はどこにもない。交通事故、けが、感染症、中毒、寄生虫、(それらから)ネコを守るためでもあるし、結果として野生動物も被害に遭わずに済むことは大きい」
奄美大島に暮らす重山さん夫妻は「ノネコ管理計画」で捕獲された2頭のネコを引き取り、「室内飼い」をしています。
重山絵理さん
「(ノネコ管理計画は)野生動物にも優しくて、ノラネコなども幸せな家が見つかり、良いことだと思っています」
重山祐一郎さん
「責任を持って最後まで飼ってくれたら、嬉しく思いますね」
重山絵理さん
「ネコは家族だからね」
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