ここでは、日本の伝統芸能「能」の映像をご覧いただきます。【撮影協力:代々木能舞台】http://www.yoyoginoubutai.com/
演目は「屋島(やしま)」です。2014年5月23日に行われた、
「代々木果迢会(よよぎかちょうかい)五月定例公演」の模様をダイジェストでお届けします。
❖屋島❖
旅僧は屋島の浦で漁夫の老人と若者の二人に出会った。
僧は漁夫に一夜の宿を乞い、彼らの塩屋に泊まる。
老人は僧に求められるままに、源平屋島合戦の語りを始める。
華やかな合戦絵巻の物語、そこに描かれる有り様を語る老人は、
そして自分こそが義経の霊であると仄めかし、
今は夢を覚まさず待てと言うままに消えうせた。
やがて、僧の夢の中へ武将姿の義経が現れる。
義経は修羅の戦いと妄執に苦しむ我が身を『生死の海に沈淪せり...』と語り、
春の夜に望む真如の月(真如の月:明るい月が闇を照らすかのように煩悩が晴れる事)への悟りをひそかに願う。
しかし、再び義経の霊は修羅道の戦いに引き込まれ
非業の戦死を遂げた亡霊達との激しい合戦を見せながら、
夜明けとともに空しく消え失せてゆくのだった。
本作『屋島』は前場・後場に極めて重厚な構成を有し、世阿弥による修羅能の構想として代表的大作。