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【Vol.1】「地平線のディエゴ」

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劇作家・末満健一がライフワークに掲げ、2009年より展開するオリジナル作品「TRUMPシリーズ」。 数々の過去シリーズ作品で音楽を担当している和田俊輔氏とタッグを組み、 <繭期幻想樂団>始動! コンセプトは“たった1曲で完結するミュージカル”。 TRUMPシリーズ独自の世界観と、公演から派生した物語を、歌に乗せてお届けいたします。 【概要】 TRUMPシリーズ『繭期幻想樂団』 作詞:末満健一 作曲:和田俊輔 Vol.1「地平線のディエゴ」歌唱:新良エツ子 イラスト:問七 少年が最後に見た世界は 地平線に沈んでいく夕景だ 今日にさよならを言いながら 陽は沈んでいく誰かの明日のために 生まれた時から運命に見放されていた 人間種と吸血種の混ざり子ダンピールだ 少年は自己存在を呪いながら 逃げて逃げて逃げ続けた ようやくたどり着いたのは 嘘という名の檻の中で 本当の自分なんてどこにもいない 檻の中で誰よりも自由でいたかった ずっと外を眺めていた そこから見える景色はどんなものだろう 一日の終わりに空が夕暮れに染まっていく 今日という一日が死にゆく景色だ 誰かが言っていた心の色は 血よりも赤い赤だという あの夕暮れのような赤であればいいのに ようやくたどり着いたのは 嘘という名の檻の中で 友情なんてどこにもなかった それでも約束した、みんなを連れていくと 終わることのない永遠の繭期に その約束が果たされることはなかったけれど 気がつけば檻の中でも逃げ続けていた ダンピールの限られた時間の儚さを知る それでも夕暮れに願わずにはいられなかった また明日がくることを あの夕暮れのような赤をずっと見ていたかった この手はなんだって掴むことができる そう信じていた あんたを自由にしてやると言った 自由じゃないのは自分とも知らずに だからまた逃げなければいけない 夕暮れを幾重にも越えた空の彼方に なにも見えない まだなにも そこに行ってみなくては 逃げることは罪だった 罪を犯した少年は囚われた 檻の中のさらに奥深く ヘル・クランと呼ばれる まるで牢獄に 出口は堅く閉ざされている そこからは誰も逃れられない そこからはあの空も見えはしない だから少年はそこにはいられなかった その両の手が自由に届くところにまで 檻を壊した少年は駆け出した 逃げるためではなく生きるために 息が切れるまで 心臓の鼓動が止まる前に 闇を払うようにして追っ手から逃げた 傷いて打ちのめされてまた傷ついて 心が今にも尽き果てそうだ その時 一筋の光が見えた あと一歩 あと一歩 自分が呪った運命の出口へと 重たい足取りを進める 少年がようやく檻の外に出ると 目の前に広がるは遥かな地平線だった 少年が最後に見た世界は 地平線に沈んでいく夕景だ 今日にさよならを言いながら 陽は沈んでいく誰かの明日(あす)のために 宙が夜に染まり星が瞬く頃に 地平線のディエゴは長い長い眠りについた 永遠の繭期を夢に見ながら [TRUMPシリーズ公式サイト] https://trump10th.jp/ [X(旧Twitter):ワタナベ演劇公式] @watanabe_engeki #舞台 #演劇 #TRUMPシリーズ

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