アウトドアブランドのヒストリーと銘品について徹底解説していきます。
今回は【Barbour】です。
100年以上イギリスで防水衣料を作り続ける歴史あるブランドです。
今回はまず創業者の生い立ちから見ていきます。
1849年、スコットランド南西部キャロウェイ地方で創業者ジョン・バブアーは生まれます。
幼い頃より家業の農業、羊の世話に従事し、1870年、21歳になると家を出て、イングランド北東部へ移住し布地の行商をはじめ、成功をおさめます。
結婚を経て1894年、イングランド北東部サウスシールズでJ Barbour & Sonsを創業し、店舗を構え、ビジネスをスタートさせます。
サウスシールズは北海に面した港町で、不順な天候の下で働く水夫や漁師、港湾労働者の集まる場所でした。このような人々に向けて、布地に防水性のワックスを浸み込ませた高品質の防水オイルスキン「ビーコン」を提供し始めたのがオイルドジャケットの第一歩でした。
主に荒れ狂う荒天の海の上での使用において信頼性の高さを評価され、港湾にとどまらず農家、工夫、林業などあらゆる分野の労働者に重宝されていきました。
20世紀に入ると、ジョンの息子マルコム・バブアーが経営を引き継ぎます。ジョンの経営戦略によりバブアーは新たな市場を開拓します。
1908年に初めて通信販売用のカタログ刊行をはじめ、顧客とのやり取りの中でバイク、乗馬、アウトドア、ミリタリーなど幅広い要望に応えながらラインナップを拡大していきます。
このカタログは当時のイギリス植民地を中心とした新たなマーケットの拡大を狙ったものであり、これにより世界中へマーケットが拡大し、バブアーブランドが知れ渡ることとなります。
第一次世界大戦を経た1920年頃より、ヨーロッパの富裕層の間でモーターサイクルレースが盛んになります。
自らもモーターサイクリストであったマルコムの息子ダンカン・バブアーは新たに過酷なトライアルレースに耐えうるジャケットの開発に着手し、1936年のオフロードレース「International 6 Days Trial」用にモーターサイクルジャケットの代名詞「インターナショナルジャケット」を発表します。
バイクによる風と悪天候にも対応するワックスドコットン、チンストラップとウエストベルト、斜めの左胸ポケットなど、そのスタイルはバイカーズジャケットの代名詞となりました。
同じ1930年代にはそれまでの防水オイルスキンに改良を加え、現在の形の原型となる新たなオイルド・コットンを開発。この新素材の特徴を「ソーンプルーフ(棘が刺さらない)」という言葉で表しました。
現在は世界三大綿の一つである「エジプト綿」にこの「ソーンプルーフドレッシング」を塗布しています。そのオイルの中身は企業秘密です。
厚手の表地は過酷なアウトドアでの使用で岩や棘にさらされても耐えうる耐久性を持ち、オイルの塗布によって高い防水性を持ちながら通気性も兼ね備えた作りとなっています。
見た目はクラシカルですが、現代の防水透湿性素材に繋がるような構造をいち早く採用していたのは、驚くべきことです。
第二次世界大戦時には、バブアーのモーターサイクルスーツの評判を耳にした潜水艦「ウルスラ号」のジョージ・フィリップス大佐から軍服の製作を依頼されます。
これがイギリス海軍潜水艦の公式搭乗員服「ウルスラ・ファウル・ウェザー・スーツ」として採用され、その品質に絶大な信頼を寄せられました。この功績が認められ、この他にも多くの防水服を英国軍に供給します。
戦後はモータリゼーションの普及により、再びインターナショナルジャケットが隆盛となります。1964年に東ドイツで行われたISDTでは、俳優スティーブ・マックイーンがアメリカ代表として「インターナショナルジャケット」を着用し、出場したことは輝かしい歴史の一つです。
1968年に当時の代表ジョン・バブアーが死去し、妻のマーガレット・バブアー1973年に5代目代表となります。創業家以外から、また女性の代表は初めてでした。
これを境に、英国で古くから貴族や王族を中心に楽しまれていたハンティング、乗馬、フライ・フィッシングといったアウトドアスポーツで着用し、カントリーサイドで快適に過ごす為のウェアの開発に注力していきます。
まず1980年、乗馬用ジャケットとして「ビデイル」を発売。
https://www.west-shop.co.jp/item.asp?id=376068 (リンク先はスリムフィットのSLモデルです)
ラグランスリーブの袖口は風が侵入しない厚みのあるリブニット仕様、ショート丈の裾両サイドには動きに対応するサイドベンツを装備しています。
続く1983年、ハンティング用ジャケットとして「ビューフォート」を発売。
https://www.west-shop.co.jp/item.asp?id=376054
同じくラグランスリーブの袖口は開閉可能で即座に腕捲りが可能で、ジャケットの袖にも干渉しないです。
テール部には狩猟で仕留めた獲物を保管するゲームポケットを装備。ジャケットが隠れるフォーマルな長めの裾丈でビジネスマンからも支持されるモデルです。
この現在のバブアーを代表する2モデルはどちらもマーガレット・バブアーがフランスで出会った乗馬用ジャケットから着想して開発したと伝えられていて、現在まで変わらず愛されるカントリーアウトドアウェアのマスターピースとなっています。
最後にもう1つ、フライ・フィッシング用ジャケット「スペイジャケット」についてご紹介します。
https://www.west-shop.co.jp/item.asp?id=459714
スコットランドのフライフィッシングの聖地であるスペイ川から名前をとったこのモデルは、ウェーダーで川に入る際に干渉しない為のショート丈を現代的な着丈にリアレンジした復刻モデルです。フライタックルを付けられるDカンが右胸と左裾にあるのは長く変わらないディテールです。
バブアーが他のアウトドアブランドと一線を画しているところは、その長い歴史と製品への信頼性、品格を兼ね備えていることから、英国王室御用達「ロイヤルワラント」を3つ下賜されているという点です。
1974年にエディンバラ公(フィリップ王配)より、1982年にエリザベス女王陛下より、1987年にはチャールズ皇太子殿下より下賜されたこの称号は、厳しい審査に耐えながら今日まで一つも欠けることなく残っています。
アウトドアの中でもバブアーを身に着けて自然に敬意をはらった正装で、相対してみるのはいかがでしょうか?
情報提供、引用
株式会社エイアンドエフ
https://aandf.co.jp/#/
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