【ルームツアー | 新築一戸建て vol.6(後編/インテリア)】美しきウィリアム・モリスの「紙クロス」▶建築化照明で「光をデザイン」するテクニック▶白は選び方を間違うとチープになる!注文建築・リノベ
私の本業ど真ん中である住宅設計「新築一戸建てvol.6」のお話しです。
今回の後編(インテリア)と前編(設計)の、全2回に分けてお届けします。
お客様及び物件データは「大阪北部に位置する敷地面積が約41坪、延床面積は36坪ほどのお家です(LDK+SOHO約28帖、5畳台の子供部屋x2、約11畳の主寝室、シーズンクローク、吹き抜け)。
一種低層に準ずる(建ぺい率50%、容積率100%)で、1mの壁面後退が必要なエリア。
ご夫婦に当時小さなお子様が1人いらっしゃるお客様でした。」
※間取りや設計の詳しくは前編をご覧ください。
さてインテリアですね。
玄関にはシチスのジニア、影が美しいインテリアの一部となるナフトのコートフック。
そしてカルテットペイントお色のはスモーキーオリーブ。
角は柔らかい丸みを持たせるためにブルノーズでしあげています。
トイレのクロスは永く愛せるデザインのウィリアム・モリスを。
しかも「紙」クロスです。
やはり紙クロスは質感が素晴らしいですね。
洗面の中間ミラーにもシチスのジニアを張りました。
洗面室の広がりを感じる中間ミラーも素敵ですが、タイルを使うメリットはなんと言っても水滴を綺麗に拭き取れること。ていうか、そもそも水滴がほぼ気にならない優れものです。
お風呂の壁は廃盤となったオンダガタライトブラウン。
高級感があり水滴の跡が残らない(ように見える)最高の製品でした‥LIXILさん復活させましょ!!
KDLに行きます。
キッチンバックセットのジニアを、美しくコーニス照明が美しく照らしています。
天板はクォーツストーンのシュガーロック。
この天板は白系カラーなのにめちゃくちゃ格好いい。
白って安っぽく見えがちなんですよね。
高級感を得るためには「本物」の質感が必要です。
チープな素材で白色を選ぶと安っぽさ満開ですので気をつけてください。
天井はブラックカラーで抜け感を作っております。
ダイニングに目を向けると、イタリアの家具ブランドであるポリフォーム(Poliform)のダイニングテーブル「HOWARD(ハワード)」がお目見え。
世界的デザイナーであるジャン・マリー・マソーが手掛けた同社で唯一のダイニングテーブルです。
HOWARDは、大理石(ビアンコカララ)を使用した大型のテーブルで、6人掛けや8人掛けなどがあります。
緩やかな弧を描く天板が特徴で、スタイリッシュな空間を演出します。
存在感抜群のテーブルには、それに見合うチェアを選びました。
ポラダのエスタとYチェアです。
キッチン・ダイニング専用の壁掛けTVとブラケット2灯。
ブラケットは8cm位の小ぶりなものを、10cm程度の間隔で配灯しています。
複数並べる場合の目安としては、照明の大きさと同じ位間隔を空けると良いでしょう。
カーテンはマナトレーディングのサウンズ(レースカーテン)を30cm位床に垂らしてエレガントに。
ここを通って掃き出し窓を出ると、ウッドデッキが伸びやかに広がります。
フローリングがオークなので、同色で床を繋げました。
ウッドデッキには美しい十字の明かりを灯す船舶照明を。
お家を設計する時からお庭もイメージして、電気配線や照明を計画しておかないといけませんね。
リビングに戻ると、アイラーセンのストリームラインソファが2.8mサイズで鎮座しております。
貼地はMELLOW(メロウ)。
肌ざわりが良く、光沢のある表情に上質感が漂います。
テクタのK22サイドテーブル(ブラック)を添えて、ラグはドイツのジャブをオーバル(オーバーロック仕上げ)でコーディネートしました。
ダイニング側を見上げるとコーブ照明が美しい光のラインを描いています。
コーブ照明は天井を反射板にして灯りを広げるものですが、リビングとキッチンのブラック天井の色分け部分に構造の梁があり、ここをデザインとして取り込んだコーブの設計です。
BOXの形状を通常の比率と変えて、光が出てくる開口を小さくしました。
その理由は、空間を明るくする目的ではなく光のラインをデザインしたかったから。
機能としてか、デザインとしてなのか、しっかりとイメージして設計することが大切です。
ダイニング上部は吹き抜けです。
2階にあがると、吹き抜け・階段・廊下を一体化した、驚異の抜け感をデザインしました。
階段は玄関ホールから上がる間取りなので、2階に上がった時にダイニングを臨めるという不思議な感覚になります。
居室はモリスの紙クロス三昧です!
私が調子に乗って勧めたこともありご予算がウン十万円上がってしいましたので、サービスいたしました笑
2階の廊下から主寝室、納戸までサンゲツのカーペットを敷き詰めで、もちろんハイクッションを追加して最高の踏み心地となっています。
皆さん、納戸だからといって手を抜いてはいけませんよ。
今回はネイビーのクロスとライトブラウンのカーペットで、「入りたくなる」ようにカッコ可愛く仕上げました。
カーテンはアスワンの一般的な価格のものを選びましたが、上質に見えるはずです。
縫製や選ぶもの、工夫次第ではチープにならないように出来ます。
先述しました「白」ほどチープに見えるものはない、について。
白色は、「本物」の質感があれば、とても美しいです。
クロス選びで、コーディネートのスキルやアイデアが乏しいと、皆んな白に逃げます。
「明るい」という表現に騙されて「眩しい」質素な空間の完成です。
質素はシンプルとはお間違えないように。
じゃあ、どうしても白を選びたかったら?
ペインティングにしましょう。
質感があり美しい空間となります。
お家の外観も同じです。
サイディングではなく、海外の多くに見られるペインティング等の白を使うと美しいですね。
でも汚れますよ、特に軒のないハコの家は。
それを愛でる感性と、高い頻度のメンテナンスが必要ですので、自信のない方は中間色のアースカラーを選択すると良いですね。
服でも車でも食器でも、気に入った美しいデザインのものおは所有する喜びとなり、永く愛し大切にします。
外観もこの感情をイメージしてください。
私が凹凸や雁行を取り入れ、デザインに固執するのはそういうことです。
反して日本では、性能・スペック・数値(だけ)を謳うのはナゼか?
皆さん是非考えてみてください。
私は「感情寿命」が大切だと思うのですが‥。
【新築住宅への想い、中古戸建て・マンションのリノベーションに関して】
私は新築戸建ての設計や建築を主としています。
理由は美しい街を創りたいたいから。
美しい街は資産価値と、それを守る住人の意識を生みます。
街や住人の意識や価値を一変させる思想で、メイクノスタルジーと命名しております。
日々楽しんで苦しんで命を削る思いで設計を繰り返し、
私の描いた設計図面があんなに大きくスケールアップしたお家に建ち上がる。
感動で心が震えます。
だからリフォームやリノベーションに興味があまりなかったんです。
ただ、知人や関係者からたっての要望があると見てみぬふりができず・・。
私が関わることで一人でも幸せな方が増えるのなら、という想いです。
マンションであれば、一旦(ほぼ)スケルトンにしてのフルリノベーションが、設計の醍醐味を感じて頂けます。
街や住人、意識や価値のトランスフォーム(一変させる)ですね。
戸建てリノベーションの場合はいろいろと限界があります。
手掛けない理由として。
触れない構造や、開けてみてビックリみたいなことが多く、いわゆる「暮らしが変わらない」リフォームしか出来ないことがほとんどなんですよね‥
抜けない構造材や、壁の中を開けてみて想定外の造りになっているなど、表面上は綺麗にできるが、暮らしを変えることが出来ない。
何より、元々の設計者の意図や意志が入ったお家(設計)にメスを入れるだけの修正作業は非常に苦しい。
という心境、手前勝手ではございますがご容赦いただけますと幸いです。
また、間取り制作や照明計画、外構工事のみやクロス選び、バックセット(カップボード)施工、玄関タイル等の部分的なリフォームもほぼ手掛けません。
部分的なリフォームでも、建築施工が絡む内容には、設計が必要となります。
図面を起こしますと、コンセント・スイッチ・照明計画等の電気配線図の制作も重要なポイントとなります。
照明・電気計画が入りますと、「ここにコンセントをとりたいが壁が足らない、または無駄に長い」「何を、どう照らすのか」といったインテリア計画(クロス、床材、天井材、家具、カーテン等)が本来必要となります。
また、「バックセットの奥行きが55cm無いと使いづらいが、既存の間取りだとキッチンとの動線が狭くなるため壁面位置を動かしたい」等々。
図面を制作し、お客様が依頼されている工務店が着工しましても「この図面通りには(技術力の差で)建築出来ません」というやり取りが始まってしまう。
そのような過去のほぼ全ての経験から、住宅の全ては連動した一気通貫の中で計画されるべき、という考えに至りました。
私はこの仕事に誇りをもっているので、昨今目にする機会が多い「志の無い」世の設計士には嘆いています。
そして、そこに向き合うお客様(建築主)が、より良く打ち合わせが進むようにも願っています。
そこで、ハウスメーカー(設計士)とお客様、双方の視点で解決策はないものかと考察してみました。
「自由設計!なんでも出来ます!何度でも図面作成OK!」‥等々
私には「クレームから全力で逃げたい(だけ)」に見えるんですね。
住宅業界の責任逃れ体質。
設計士の意識改革。
お客様の心構え。
私なりの様々な視点から、原因と対策を提案します。
インテリア計画で皆さんにお伝えしたいことは、暮らしの質はインテリアで左右され、人生を変える力があるということです。
ですからプランニングは、一度きりの真剣勝負で挑んでいただきたい。
住宅は奇をてらわず、シンプルに造ってインテリアで美しくまとめることが大切です。
根本的にインテリアの良し悪しを決めるのは、住宅設計によるということ。
コーディネーターではなく、設計士の力量にかかっています(一人で一気通貫できる設計士はほぼ存在しませんが)。
美しさも居心地もメンテナンス性も、全ては設計力です。
新築住宅だけでなく、リフォームやリノベーション、DIYを検討されている方にもオススメです。
皆さん楽しんでご覧ください。
【チャプター】
00:00 イントロ
00:22 オープニング
01:19 玄関のインテリア紹介
03:05 1階トイレのインテリア紹介
04: 22 洗面室・浴室のインテリア紹介
07:27 キッチンのインテリア紹介
10:31 ダイニングのインテリア紹介
13:32 リビングのインテリア紹介
19:18 建築化照明のテクニック
27:38 2階のインテリア紹介
33:42 インテリアをよくする考え方
41:00 アウトロ
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