「燃えつきた二人」のメロディーは「時の過ぎゆくままに」のメロディーとして歌われていたかもしれない
という話があります。
「時の過ぎゆくままに」といえばドラマ『悪魔のようなあいつ』の挿入歌ということで、歌詞はドラマの原作者である阿久悠さんに決定していました。
ところが曲は6人の作曲家による競作(コンペ)で決定する、というのがプロデューサー・久世光彦さんの意向。
6人の作曲家とは、井上大輔さん、井上堯之さん、荒木一郎さん、都倉俊一さん、大野克夫さん、そしてこの「燃えつきた二人」を作曲した加瀬邦彦さんでした。
結果、大野克夫さんの曲が採用され(※)「時の過ぎゆくままに」はジュリー最大のシングル売り上げを記録しました。
しかしせっかく作った曲を埋もれさせるのはもったいないと考えた加瀬さんが松本隆さんに詞を依頼し作られたのがこの「燃えつきた二人」。
ということで「時の過ぎゆくままに」と「燃えつきた二人」はそれぞれ曲と詞を入れ替えても歌うことができます。
コメント欄に「時の過ぎゆくままに」の歌詞を載せましたので入れ替えてみて下さいね(^^
(※大野さんは打合せの段階で頭の中に「時の過ぎゆくままに」のメロディが浮かび、翌日にはプロデューサーの久世光彦さんに提出した)
一方大野さんには、“詞先”が多い阿久さんに珍しく“曲先”で作った曲があります。
「勝手にしやがれ」のかわりにシングル化されるかもしれなかった曲があります。(また改めて動画にしたいと思ってます)
作詞の松本隆さんといえば「木綿のハンカチーフ」や「ルビーの指輪」、松田聖子さんに数々のヒットソング等提供した名作詞家。
阿久さんと同様、歌謡界で一時代を築き上げたと言われています。
ジュリーへの歌詞提供はこの「燃えつきた二人」と「影絵」(チャコール・グレイの肖像)。
わずか二曲ではありますが「影絵」はジュリーの作曲。独特で哀愁に満ちたこの曲も改めて動画にし、皆さんと一緒に聴きたいなと思っています。
「燃えつきた二人」(いくつかの場面 1975年)
作詞:松本隆 作曲:加瀬邦彦
生きてる辛さに泣いて眠った
あなたの寝顔を憶えておこう
目覚まし時計が鳴る頃
僕は北ゆく船から
海を見るだろう
身体のしんまで凍る都会で
口びるよせても寒がるあなた
無邪気にギターを弾いてた指も
涙をふくたびこんなにやせた
あふれる若さを想い出に変え
二人の季節が燃えつきてゆく
傷つき力の尽きたあなたに
わかれがせめてのやさしさでしょう
旅立つ思いを知っていたのか
昔の写真を見ては泣いてた
古いレコードが針とぶように
「好きよ」とそれだけ
くりかえしていた
船出のテープが波に消えても
心のきずなはきれないはずだ
あなたのマフラー首に巻いたよ
潮風吹いたら ぬくもり抱こう
あふれる若さを想い出に変え
二人の季節が燃えつきてゆく
傷つき力の尽きたあなたに
わかれがせめてのやさしさでしょう
#沢田研二#ジュリー#燃えつきた二人#加瀬邦彦#松本隆#歌詞#時の過ぎゆくままに