岩手県大船渡市の山林火災で、7日午前、一部地区の避難指示が解除されました。
■赤崎町の6地区 避難指示解除
5日から降った雪や雨によって延焼の恐れがなくなったとして、避難指示が解除されたのは赤崎町の6つの地区、合わせて415世帯957人。火災発生3日目に避難指示が出された区域です。
大船渡市災害対策本部 松川伸一防災管理室長
「仮に再燃した場合でも地上部隊等で制圧が可能であると。引き続き監視体制も整える等々を総合的に勘案して、対象地域の避難指示の一部解除になった」
避難所には、この日を心待ちにしていた人たちの姿がありました。
山口地区から避難した人
「早く家に帰りたかった」
(Q.早く消えないかなと)
「ずっと思ってました」
後ノ入地区から避難した人
(Q.いつから)
「(避難所に)入れなくて車中泊していた。3~4日は。うれしい。ホッとしました」
■福祉避難所から7日ぶり帰宅
特別な配慮が必要な人たちのために開設されている福祉避難所でも。腎不全を患う吉田忠雄さん(83)は人工透析を欠かすことができません。妻の敏枝さん(80)と共に逃げてきましたが、長期の避難生活は負担が大きく、解除の報せを受けて、自宅から透析治療に通うことを選びました。車で向かった先は何本もの白煙が立ち上っていた山の裾野にある、赤崎町の森っこ地区。
吉田忠雄さん
「いざ帰って家がなかったら大変。あったからよかった。懐かしい」
7日ぶりの我が家です。吉田さん夫婦の日常は戻ってきました。ただ…。
吉田忠雄さん
「やっぱり何となく引っかかるな。一緒にいた人たちがね。(自分たちは)家がそのまま残っているから。津波で流されて高台にやっと家を建てた途端に焼かれて。本当に申し訳ないな」
■解除“見送り”地区は「限界」
7日に発表された焼失面積は市の1割にあたる2900ヘクタールのまま。しかし、赤崎町以外の区域については解除が見送られました。その1つが三陸町越喜来の甫嶺地区です。
甫嶺地区から避難 阿部長吉さん(79)
「そろそろ限界じゃないかな。7日の解除、心待ちに待っているんですよ」
その甫嶺地区については熱源も確認されなかったといいますが…。
大船渡市災害対策本部 松川伸一防災管理室長
「まだ全エリア、周辺のエリアまでしっかり調査が終わっていない。未確認の部分があることで避難指示解除には至らなかった」
複雑な思いを抱えながら避難所で解除を待っていました。
阿部長吉さん
(Q.戻りたかったですか)
「それはそうですよ。そういう思いですよ。ただ、綾里地区と一緒に住んでいる。綾里地区は相当ダメージを受けている。甫嶺が解除になったからって両手をあげて喜んでられない」
特に被害の大きかったのが三陸町綾里地区。60軒の家屋などが焼けたとみられています。火災で亡くなった人もいます。岩手県は7日、綾里地区の県道付近の路肩で見つかった遺体が柴田吉郎さん(90)だったと発表しました。
綾里地区の人を慮る気持ちもありますが、一刻も早く自宅に戻りたいというのが阿部さんの偽らざる思いです。
阿部長吉さん
「うちの集落は大丈夫だと自分の目で見て確認する。そうでないと、いくら人から聞いた話でも本当かなとどこかで思いながら、不安はやっぱり消えない」
(Q.帰宅したら何をしたい)
「猫を放してきたんです。だから猫に会いたいですね。自分で生きてもらうしかない。生きていると思いますけど。一番最初に会いたいですね」
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