男性が多い自衛隊の中で、ヘリコプターの整備士として業務にあたる女性自衛官がいます。入隊から7年、24歳の若き自衛官の1日に密着しました。
新潟空港の西側に隣接する航空自衛隊・新潟分屯基地。新潟救難隊と入間気象隊新潟気象班が拠点として活動しています。救難隊は、石川県の小松や那覇など全国10カ所に所在し、主に災害現場に物資を届けたり被災者や患者をヘリコプターや飛行機で輸送する業務を担います。
新潟救難隊に所属する三等空曹の大久保朱里さん(24歳)。福岡県出身の大久保さんは高校卒業後、航空自衛隊に入隊。新潟での勤務は、今年で7年目です。
現在は、災害派遣などで活動する救難ヘリの整備を担当しています。ヘリコプターを安全に運航するため、ネジのゆるみがないかなど機体の隅々まで慎重に点検します。
■新潟救難隊 大久保朱里三等空曹
「今は飛行前点検っていって、フライトの前やエンジン試運転の前のヘリコプターに異常がないかを点検している。油圧の力で機械を動かしたりしているので、油が漏れていないかだったりネジのゆるみがないかしっかり見ている。」
1つのミスが事故につながるため、大久保さんは責任感を持って任務に当たっています。
■新潟救難隊 大久保朱里三等空曹
「自分が触ったヘリが、人を運んだり命を乗せて運ぶということで責任感を伴う。ちょっとくらいいいやっていう気持ちは絶対にだめなので、絶対に妥協しないように正しい整備を行うように心がけている。」
航空自衛隊を目指したきっかけは、警察官になった姉の美里さんの影響でした。
■新潟救難隊 大久保朱里三等空曹
「姉が公務員で、人のために役立っている姉を見て憧れをもって、私も同じように人のためになる職業に就きたいと思ったのがきっかけで。直感でかっこいいなと思ったので、航空自衛隊を受験して入隊した。」
全国の自衛官は約22万3500人いますが、そのうち女性は9%にあたる約2万人(2023年度末現在)。女性自衛官の比率は近年増加傾向で、防衛省は今後も採用枠の拡大を図るとしています。
■新潟救難隊 大久保朱里三等空曹
「女性だと力が必要なことだったり男性に任せがちなイメージがあるのですが、男女関係なしに1回チャレンジさせてくれたりとか男女で使い分けているみたいなのは感じたことない。」
ヘリに異常がないか確認するため、今度は実際にエンジンをかけて点検を実施。パイロットには手信号で指示を送り、点検の状況を共有します。
■新潟救難隊 大久保朱里三等空曹
「寒いです。無茶苦茶寒かった。押し倒されそうになりながら耐えないといけないので、それが整備員なので頑張っています。」
昼食の時間-
業務の中で唯一、落ち着ける瞬間です。基地には食堂があり、自分たちでご飯を配膳します。
■新潟救難隊 大久保朱里三等空曹
「ご飯を食べないと仕事中お腹すいたってなって仕事どころじゃなくなるので、しっかり食べて体力はつけています。」
この日、一緒に昼食を食べていたのは年が近い先輩の女性自衛官です。
■新潟救難隊 川原田矩子三等空曹
「大久保は自分の目標に対してひたむきに頑張る努力家で、後輩だけどその面に関しては尊敬している。」
■新潟救難隊 大久保朱里三等空曹
「恥ずかしいです。」
■新潟救難隊 川原田矩子三等空曹
「言ったことないもんね。」
■新潟救難隊 大久保朱里三等空曹
「職場の人に言いづらいわけではないが、より近しい方に話したほうが色々話せるし、川原田さんも親身になって聞いてくれるので言っちゃいます。」
大久保さんには今、目指している夢があります。それは、実際にヘリに乗ってパイロットの補佐や、要救助者のつり上げなどを担当する『機上整備員』になることです。
■新潟救難隊 大久保朱里三等空曹
「機上整備員になるうえで欠かせないのは、ヘリコプターの知識と体力・筋力だが、みんなが寝た後に私は1人で勉強したり知識の習得には力を入れている。」
知識や体力が求められる『機上整備員』。女性は4年半ほどいませんが、大久保さんの努力を普段から見ている先輩からは期待の声が聞こえました。
■新潟救難隊 長尾岳三等空曹
「普段の整備業務をひたむきに前向きに頑張っている。体力を使う仕事なので、体力錬成というところも普段から頑張っているので、ぜひ(機上整備員に)なってほしい。」
■新潟救難隊 内田敬介二等空尉
「これからは、いち搭乗員として我々整備員とパイロット、搭乗員とのかけ橋となってくれたらいいなという期待はある。」
大久保さんは、基地にある宿舎で寮生活をしています。
■新潟救難隊 大久保朱里三等空曹
「ここが、私のいつも住んでいる部屋になります。私の部屋は3人部屋で、みんなで寮生活をしている。」
枕元に大事に飾っていたのは、機上整備員を目指すきっかけとなった1枚の写真。
■新潟救難隊 大久保朱里三等空曹
「体験搭乗をさせてもらって、これが私で、すごいいい経験をさせてもらって、FE(機上整備員)を目指すきっかけになった一つ。ヘリコプターに乗って実際に人を救助している様子を間近で見せてくれて、訓練とか実任務で間近で搭乗員のかっこいい姿を見て憧れを持ったのがすごく印象に残っている。機上整備員になって、今よりもっと前線で災害派遣や患者空輸とかもっと直接貢献出来たらいいなと思って今頑張っています。」
機上整備員になるためには、選抜試験や研修を受ける必要があります。実は大久保さん、去年晴れて選抜試験に合格し、1月末から愛知県の基地で研修を受ける予定です。
■新潟救難隊 大久保朱里三等空曹
「命をかけて仕事をしているので、男女関係なく知識も力も必要になると思うので、相当厳しい世界だと思う。人のために役に立ちたいというのが1番強くあって、自分の手で助けることができたらなと強く思うので、その夢を叶えたいというのをモチベーションにして頑張っている。」
2025年1月16日放送時点の情報です。
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