【追跡】ウクライナ侵攻まもなく3年…ロシア“最も近い関係”のベラルーシ「欧州最後の独裁者」が30年超実権握る“知られざる国”を取材
ロシアによるウクライナ侵攻から、まもなく3年です。
その軍事侵攻を一貫して支持し、ロシアと最も近い関係にあるのがベラルーシです。
一体どんな国なのか、知られざるこの国を取材しました。
ロシアの首都モスクワから飛行機で約1時間半。
ロシアの西、そしてウクライナの北に隣接する人口約900万人の国ベラルーシです。
首都ミンスクを訪れると、街には外壁に装飾を施した建物が立ち並んでいました。
愛国精神を促すためか、道路沿いや建物の上、店の前など、至る所に国旗が。
このベラルーシで30年以上にわたり実権を握り続けているのが“ヨーロッパ最後の独裁者”とも呼ばれるルカシェンコ大統領です。
1月に行われた大統領選挙で9割近い得票率で再選し、2月、7期目の任期をスタートさせました。
ルカシェンコ大統領は、3年前のロシアによるウクライナ侵攻をいち早く支持。
さらに、ロシアに実質的な攻撃拠点を提供し、ベラルーシは西側諸国から厳しい制裁を受けています。
果たして、制裁の効果は出ているのでしょうか?
ミンスク市内のスーパーにずらりと並んでいたのは、国産の野菜や乳製品、そして加工肉。
ルカシェンコ大統領は元々国営の農場長出身で、就任当初から農業や畜産を重視する政策を進め、高い食料自給率を誇ります。
このため、制裁を受けても市民生活への影響はほとんど見られないといいます。
一方で制裁の影響を受けたものも。
街で見つけたのは「M」のマークならぬ「ハートマーク」のハンバーガーチェーン、その名も「Mak.by(マック・バイ)」です。
アメリカのファストフード大手マクドナルドが撤退し、その店の経営を地元企業が引き継ぎ2023年にオープンしました。
メニューはほぼ当時のままですが、ジャガイモをすりおろして薄く焼いたベラルーシの伝統料理「ドラニキ」が人気です。
そんなベラルーシを率いるルカシェンコ大統領は、時に突拍子もない発言や政策で国際社会を驚かせてきました。
新型コロナウイルスが拡大していた2020年には「ウイルスが60度で死滅する」と主張して、国民にサウナを推奨。
さらに「ウォッカを飲めばウイルスを消毒できる」といった発言も飛び出し、注目を集めました。
ミンスク市内には「一番」と名付けられた、いわゆる“ルカシェンコ・ショップ”も。
本人の名言をプリントしたTシャツやパーカーが販売されています。
「大統領になったのではない。生まれた時から大統領なのだ」と書かれたトレーナーもありました。
一見、盤石なように見えるルカシェンコ体制ですが、その裏で野党やメディアなどに容赦ない弾圧を加え、体制を維持してきました。
前回、2020年の大統領選では、市民による抗議デモが1カ月以上続き、当局が徹底弾圧。
5万人以上の市民が拘束されたとしています。
今回の選挙では、目立った抗議の動きはありませんでしたが、市民の受け止めはさまざまです。
ミンスク市民からは「彼は素晴らしい。よくやっているよ」「今の生活に満足していますが、大統領を1人しか知らないので、他に比べられる人がいません」といった声が聞かれました。
また、2020年の前回の大統領選以降、政権は反体制派への弾圧を強めています。
2023年に隣国のリトアニアに避難した、オレグ・マツケビッチさん。
治安当局から複数回にわたり家宅捜索を受け2023年、身の危険を感じて国外へ脱出しました。
厳しい弾圧が続くベラルーシでは、当局の意に沿わないSNSのコメントに「いいね」を押しただけで拘束されることがあるといいます。
ベラルーシ反体制派 オレグ・マツケビッチさん:
ベラルーシの国家、社会は今分裂しています。ルカシェンコ政権は民意を体現していません。
また、拘束された中には日本人も。
2024年には日本人男性2人が鉄道の関連施設を撮影したとして治安当局に拘束され、今も解放されていません。
ロシアとウクライナの停戦に向けた動きが本格化する中、一貫してプーチン政権を支持してきたベラルーシはどのように対応するのか。
ルカシェンコ政権の判断も注目されます。
FNNプライムオンライン
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