①一級建築士を持っているだけではダメ②4月から着工が難しくなるかもしれません③無資格でも家は建てられる事実④構造計算をプレカットで代用してしまう家づくり⑤ZEHなのにゼロエネにならな
00:00 はじめに
05:04 ①一級建築士を持っているだけではダメ
08:26 ②4月から着工が難しくなるかもしれません
11:43 ③無資格でも家は建てられる事実
18:50 ④構造計算をプレカットで代用してしまう家づくり
23:47 ⑤ZEHなのにゼロエネにならない家も多い
今回のテーマは、1級建築士の受講制度についてです。
先日、3年ぶりに1級建築士の定期講習を受けました。2008年頃に建築士法が改正され、1級建築士、2級建築士、木造建築士の3つの免許については、3年おきに国が定める講習を受けなければならなくなったためです。
私が1級建築士を取った時にはなかった、設備設計1級建築士、構造設計1級建築士についても、3年ごとに講習を受けなければなりません。ちなみに、1級及び2級施工管理技士、現場監督の1級及び2級建築士については定期講習がないため、1回取ってしまえば余程のことがない限り、剥奪はありません。
ちょっと自慢になりますが、私は20代の時に、1級建築士、1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士の三冠王を取りました。当時、群馬県で20代で三冠王を取った人はあまりいなかったので、前職の会社で鼻高々に「俺は3つ持っているんだ。」と言ったところ、現場の職人さんから「1級建築士の先生ならわかるだろう。」と、からかわれてしまいました。今考えたら恥ずかしい限りですが、何しろ経験がなく、指示も決断もできないので、「逆にどうしたらいいですかね?」と言って上手く凌いでいました。
資格というのは大事ですが、それ以上に経験が大事だと思います。でも資格がないと申請ができないし、公共工事であれば現場監督はできません。ただ、正しい経験は必要かなという感じがします。正しい経験がないと、職人さんが間違ったことをやっていた時に「それは違うよ。」と言えないし、知識というのは時代によって変わるので、その都度職人さんに教えていかなければならないからです。
知識を自ら学ぶ職人さんは、ほぼいません。私の知り合いの職人さんに自分で設計をしている人がいて、そういう方はしているとしても、住宅会社から仕事を貰っている人や専属大工さんは、自分で勉強をして最新の知識を覚えるということはほぼありません。なぜかというと、そもそもそんな時間がないからです。現場施工をしなければいけないので、さらに夜に勉強するというのは、よっぽどの向上心がなければできません。そうなると、腕のいい職人さんを使うというのは当然だし、腕のいい職人さんに正しい方法を教え続けるということができないと、いい家はできないと思います。
1級建築士の定期講習は、去年はどこかの教室に行って受けましたが、今年はオンラインで受けました。30分ぐらいの動画を10本ぐらい見て、終了考査を40問やって、受かると免許が継続できるというシステムです。ものすごく簡単なので、なかなか落ちる人はいないんじゃないかなと思います。
昔は1級建築士は、経験があって申請すると取れたという話を聞いたことがあります。大型バイクの免許も、昔は普通免許を取ったらついてきたはずです。今ではあり得ませんが、昔は普及させるという目的で、みんなに無料で標準オプションとしてつけていたようです。
今年はオンライン受講だったのでわかりませんが、教室に行って受講していた時には、私ぐらいの年齢の人もいれば、もっと若い人もいれば、70代後半ぐらいの年配の方もいました。年配の方の中には、講習中ずっと寝ている方もいました。講習中はビデオを見るだけなので、寝ていても怒られるわけではありません。たまに肩を叩かれたりはしますが、また寝てしまいます。最後にテストを受けるわけですが、そういう方は受かっていないように見えます。その後どこかの教室に呼ばれて再度やるのかもしれませんが、詳しくはわかりません。そういうところを見ても、建設業界と一括りにはできませんが、まともなことをやらないとまずいんじゃないかと思います。
今年の春から、建築確認申請が大幅に変わります。特に木造住宅については、今まで4号特例で緩かったのが、ちょっと厳しめになってきます。断熱性能については、去年までは守るかどうかは自由でしたが、断熱等級4以下はダメという基準になります。正直これを守っても仕方がないという話はありますが、今までそういうのをやったことがない方は、申請手順がわからないので、4月以降は大変だと思います。役所の方も、今までは断熱性能がどうだとか、耐震等級がいくつなのかというところまで厳密に見てはいませんでしたが、今後はチェックしなければいけなくなります。申請する側もそれに応じた申請をしないといけないし、役所や民間検査機関も、それを全部確認した上でOKを出していかなきゃいけないから、時間はかかるだろうなと思います。
同様に、今年の5月から住宅補助金がスタートする予定です。ZEHが40万円、長期優良住宅が80万円、断熱等級6以上のゼロエネルギー住宅が160万円という風に、3段階になっています。さっき言った耐震等級4というのは、補助金の対象にはなりません。そもそもそれは最低限の基準だし、国としてそういう風に舵を切っているので、これから断熱等級4の家を作る方は少なくなるんじゃないかなと思います。
XやFacebookには投稿しましたが、建築士でなければ設計できない家というのがあります。1級建築士は、木造、鉄骨造、RC造とオールマイティに、面積制限なく設計できます。2級建築士は、木造はできるけど、RC造、鉄筋コンクリート、S造については面積制限があったりします。そういう中で、30坪以下、平屋か2階建て以下、屋根の一番低いところが9m、建物の高さが13m以下の面積の家であれば、建築士でなくても設計できてしまうということがあります。極端な話、素人の方が図面や間取りを書いて、大工さんに作ってくれと頼んで作ってもOKということになります。これはちょっと怖いですよね。
営業マンさんがお客さんと一緒に、方眼視に間取りを書く営業スタイルがあります。その営業マンさんは免許も現場経験もないんですが、そういう人が一生懸命「どんな家がいいですか?」と聞いてきます。普段トレースの勉強をしているし、いろんな間取りのパターンを会社の研修で覚えるので、一応サクサクと書けてしまいます。そして、面積計算をする。おそらくこういうのは、それに当たる世界だと思います。
一方で消費者の方は「間取りを書いているだけで設計じゃないのでは?」とか「実は裏に設計士さんがいて、設計士さんがチェックしてるんじゃないの?」と思うかもしれません。そういう場合、営業マンさんが書いた後に、裏にいる設計士さんに渡して、設計士さんがチェックをします。そして「設計士に相談したところ◯◯なんです。」と営業マンさんから言われます。このように、設計士さんが目の前に来て打ち合わせをしているわけじゃなくて、あくまでも設計士さんが裏にいて、その代理としてお伺いをしているというスタイルもありますが、個人的にはそれもいいんじゃないかと思います。
これについて「どう思っている人がいるのかな?」と、Yahoo!知恵袋を検索してみたところ、ドンピシャで「そんなことでも家は建つんでしょうか?」と聞いている人がいました。それに対して素人の方が答えていたんですが、失礼ながら「そう答えるよな。」と思いました。素人の方の質問に対して、素人の方が何となくもっともらしいことを答えていることほど、怖いことはありません。そして、そういう情報が伝播していったり、「プロの方が答えたはずなのに何なの?」と思うような回答がされていることが、最近は多い気がします。いろんな情報があるのはいいことですが、誰でも彼でも勘で無料でバンバンできるのは怖いことだと思います。
構造塾の佐藤先生は、そういうことの危険性について前々からお話しされています。絵のように、打ち合わせを繰り返していくのが本来の設計というものだし、本来設計士さんは、構造計算をしたり骨組みを考えるものですが、プレカットをすることで、プレカット屋さんがその間取りに合わせて骨組みを組むことになってしまいます。それを現場に搬入して、基礎を作って、職人さんが建てる。要は、設計士さんには確認申請だけしてもらうということです。
確認申請というのは、基本的にはそこに建つかどうかというのが問題なので、別にプレカットだ何だということは関係ありません。でも実際には骨組みが決まらないと、家は建ちません。プレカット屋さんというのは設計士も何でもないので、構造計算をすることはありません。あくまでも骨組みを作るだけなので、極端なことを言えば、柱が少ない家もできてしまいます。でも、別にそういう家を作ってもプレカット屋さんには何の関係もありません。プレカットで家を作るというのは、すごく怖いことです。
職人さんから聞いた話ですが、そういう家を作る住宅会社の上棟の応援に行くと、梁が飛んでいたりするそうです。耐震等級1はあるんだろうなと思いますが、この図式は本当に怖いです。でも建築士法では一応OKになってしまっているのが事実です。
ゼロエネ住宅では、家庭の中で使った電気を太陽光でゼロにできればいいのですが、家庭の中で使った電気というのはどこまでのことを言うのかという話になりますよね。ちなみに、家電は含まれず、照明、給湯、エアコンは含まれます。つまり生活するにおいて絶対に必要なエネルギーを、太陽光でゼロにすればいいということです。
はっきり言って、ゼロエネルギー申請というのはかなりいい加減です。30坪の家で、1階に電気を1個、2階に電気を1個という場合でも、6畳エアコンを1個という場合でも、申請できてしまうからです。給湯についても、家族6人で300ℓのエコキュートというのは現実的には無理ですが、申請は可能です。何個つけなければいけないというルールはないし、室温を何度にしなきゃいけないというルールもありません。
ゼロエネ住宅で申請をしてゼロエネ住宅になったけど、実際に調査してみたら、本当にゼロエネになっている家は半分もなかったというデータがあるそうです。もしかしたらこういうことを悪用している人がいるのかもしれませんね。また、某高性能系の住宅メーカーさんの、太陽光発電、蓄電池、床暖房をつけたゼロエネ住宅の、電気量データを見る機会があったのですが、「こんなにかかるんだ!」と驚きました。実際にそういうのを見てしまうと、家って何なのかな?と思ってしまいます。
情報過多な世の中なので、消費者の方もいろんな勉強をしていらっしゃるとは思いますが、「その勉強をしてもしょうがないんじゃないか。」とか「視点がちょっと違うかな。」という勉強を一生懸命している人が多いような気もします。この辺りは難しいですが、何とかなってもらいたいです。そういうことを少しでも解消できるように、私も動画を頑張りたいと思います。今後も私の動画やメルマガで、そういう真の情報を少しずつ出したいと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします。
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