地元給食でお馴染み 75年の歴史誇る「飛騨牛乳」製造終了…街の銭湯が パン屋さんが「さみしい」「困った!」 工場建設費や物価の高騰など背景
地元ブランドがなくなる衝撃です。75年の歴史を誇る「飛騨牛乳」。製造販売する組合が解散することになり「困った」という声が聞こえてきました。物価高騰も追い打ちとなったようです。「いただきます」
先月28日の岐阜県高山市立花里小学校。小学校の給食の時間、子どもたちが飲んでいるのは地域ブランド「飛騨牛乳」です。
(児童)「おいしいです」「濃厚」「クリーミーな感じでうまいです」高山市や下呂市など飛騨地方の小中学校の給食でも、子どもたちには当たり前の「飛騨牛乳」。75年の歴史があり、飛騨地方のみならず関東・関西、北陸や四国など全国各地に販路を拡大してきました。しかし、とある理由で姿を消すことになったのです。
負債総額26億円「事業計画が甘かった」
(飛騨酪農農業協同組合 岩長明宏組合長)
「飛騨牛乳をご愛用いただきありがとうございました。弊社の事情でブランドが姿を消すことは痛恨の極みで申し訳ない気持ちでいっぱい」
「飛騨牛乳」を製造販売するのは、「飛騨酪農農業協同組合」。高山市と下呂市の11の酪農家が加入し、これまで40種類以上の商品を手掛けてきました。ところが…。 (岩長組合長)
「新工場建設が転機になったと言わざるを得ません。建設費用が膨れ上がったことと事業計画が甘かったことは否定できません」
2009年に移転した工場の建設費用が膨れ上がったほか、酪農家の減少や、エサの価格高騰なども追い打ちとなり、負債総額は26億円あまりに。工場を閉鎖せざるを得ない状況になり、3月20日に商品の製造を終了し、3月末に組合を解散する予定です。
地元銭湯「従来あったものが無くなっちゃう喪失感」
衝撃は地元に広がっています。「飛騨牛乳」を販売してきた高山市の銭湯「ゆうとぴあ稲荷湯」は。
(稲荷湯 中村逸郎店主)
「やっぱりさみしい。残念がるお客さんが多い。従来あったものが無くなっちゃうので喪失感がありますね」高山市の自家製ヨーグルト専門店「飛騨高山CowCowヨーグルト」は、全てのヨーグルトに「飛騨牛乳」を使ってきました。
(客)
「こちら(のヨーグルト)も無くなるかもしれない?そうなんですか」
(飛騨高山CowCowヨーグルト 奈木尚美代表)
「皆さんが飛騨牛乳で育っているのでさみしいです。(飛騨牛乳は)まずコクがある、酸味が少ないので皆さんに喜ばれている。他の牛乳でもいっぱい試してみたんですけれど、飛騨牛乳じゃないと出せない味」代表の奈木さんは、他のメーカーの牛乳30種類以上を試したものの、「飛騨牛乳」に勝るものは見つからず、ヨーグルトの製造販売を一時休止することに。今後は自家製のココナッツミルクやアーモンドミルクなどを使った、新たな商品を作る予定だということです。
「飛騨牛乳」ブランド存続のため組合は…
岐阜市のパン屋さん「パンシノン」。クロワッサンやフレンチトーストなどの生地に使っているのは「飛騨牛乳」でした。
(パンシノン 角田しの代表)
「(組合解散は)びっくりとショックで、この先どうやってパンを作っていけばいいのか」飛騨牛乳の在庫がなくなった後は、他のメーカーの牛乳を使う予定ですが…。
(角田代表)
「酪農家は飛騨地方に残っているので、飛騨牛乳(の復活)を待ちたいと思います」
多くの人に愛されてきた「飛騨牛乳」。組合は「飛騨牛乳」ブランド存続のため、飛騨地方のみの生乳を使った牛乳を製造してもらうよう、乳業メーカーに交渉しているということです。
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https://newsdig.tbs.co.jp/articles/cbc/1764661