2024年の東京都知事選挙に出馬したAIエンジニアの安野貴博さんが1月16日に会見を開き、新たなプロジェクト「デジタル民主主義2030」を始めると発表しました。
安野さんはデジタル技術を活用して政治や行政を身近なものにする「デジタル民主主義」を提唱していて、この日の会見では「今年はデジタル民主主義の元年になる」として、SNSのつぶやきが政策に反映されるオンラインのプラットフォームや、政治家の政治資金の流れを透明化するシステムを開発していくと表明しました。こうした仕組みを自治体や政治団体などが無料で活用できるようにするとし、積極的な活用を呼びかけました。安野さんは「技術は良い方向にも悪い方向にも使える、どの方向に技術を使うかによって大きく社会の形が変わる。それがわれわれの生きている時代だ」とも話しました。
<都知事選にも立候補「テクノロジーで誰も取り残さない東京」>
安野さんは2024年の都知事選にも出馬しています。この際、出馬しようと考えた理由として「政治の世界に遠かった私が都知事に立候補したのは、まさに今こそ東京の未来のビジョンが求められていると考えたから」と話していました。都知事選では「テクノロジーで誰も取り残さない東京」を掲げて立候補し、自身の公約を学習したアバターを作るなどAIを活用した選挙戦を展開し、およそ15万票を獲得しました。
すると、その専門的な知見を生かしてもらおうとオファーに乗り出したのが東京都でした。その年の11月、都内の行政のデジタル化に取り組む東京都の外郭団体「ガブテック東京」のアドバイザーに就任し、都政のデジタル化を意欲的に進める小池知事との連携も注目されています。就任時、安野さんは「都政全体の方向性にかかわる重要な指針について、普段、政治に関する興味・関心が薄いような層も含め、どのような意見、考えを持っているのか可視化したい」と意気込みを話し、東京都の小池知事も「2050年代を見据えた新たな都の長期戦略の策定に向けた取り組みに関し、都民と一緒に新たな戦略を作り上げていきたいと考えている。より多くの意見を集めて分析するため、AI技術を活用することにして、その第一人者である安野貴博さんにガバテック東京のアドバイザーに就任してもらった」と期待感を示していました。また、2025年の年頭あいさつでも小池知事は「政治・経済・社会などあらゆる場面でDXが加速することを年頭に置いた都政運営が求められている。デジタルの力を有効に活用して、課題解決のスピードアップを図る」と行政のデジタル化の方向性を示しています。
<TOKYO MXスタジオで安野さんに聞く>
デジタル化の推進を図る東京の課題と将来像について、都内のデジタル化を支援する都の外郭団体「ガブテック東京」のアドバイザーも務める安野さんに、デジタルがどう政治や行政を変革させるかTOKYO MX『堀潤Live Junction』で話を聞きました。動画でご覧ください。