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【ASDセルフケア】「コミュ力」の改善と限界と意義【限界あっても意義はある、精神科医が14分でまとめ】

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0:05 はじめに
0:42 ASDやコミュ力の定義、ASDとコミュ力
2:22 ①ASDでもコミュ力は改善する
7:11 ②改善にも限界はある
9:55 ③それでも改善には意義がある
12:55 まとめ

ASD(自閉症スペクトラム障害)では、特性上いわゆる「コミュ力」に難点を抱えます。これは改善可能でしょうか?限界はあるでしょうか?そしてそれでも取り組む意義は何でしょうか?
精神科医が約14分の動画にまとめています。
出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)

こころ診療所吉祥寺駅前 https://kokoro-kichijoji.com
府中こころ診療所 https://fuchu-kokoro.com
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↓↓内容の詳細は下記になります。

<はじめに:ASDのコミュ力の改善と限界と意義>
ASD・自閉症スペクトラム障害では、相手の気持ちを感じにくい等「社会性の障害」などがありまして、これが対人場面での交流の能力、いわゆる「コミュ力」に大きく影響するという風に言われます。
これは努力などで改善するのでしょうか。それとも限界があるのでしょうか。もし限界があるなら、それでも取り組む意義は一体なんでしょうか。
今回は「コミュ力の改善と限界と意義」について見ていきたいと思います。

<はじめに、ASD、コミュ力等の定義>
まず、このASD・自閉症スペクトラムは、対人面・社会性の障害とこだわりが特徴的な生まれながらの発達障害です。
幼少期発見が多いですが、成人後不適応などで気づかれることもあります。
特性自体の薬とはなく、特に成人診断では、自分自身で特性へ取り組みをします。

続いて「コミュ力をとは」。
これはコミュニケーション力、対人的な交流をうまく行う能力です。
仕事の交渉等より、日常的や雑談等の能力を指すことが多いです。
会話内容の他に表情・タイミング・話し方等他の要素も含め総合的です。

そして「ASDとコミュ力」。
どうしても特性・社会性の障害あり、コミュ力は極めて苦手なことが多く、時に「コミュ障」など揶揄される場合も。
嫌な思いを「する」場合も「させる」場合もあります。
この結果二次障害や対人回避・引きこもりになるリスクもあります。

では、この「コミュ力は改善しますか?」

1)ASDでもコミュ力は改善する
<素養+経験>
他の能力とも同様で、いわゆるコミュ力に関しても2つの要素、まずは素質、そこに経験がプラスされます。
確かに素質の要素も大きい一方、経験の積み重ねで改善する余地があります。
ASDがない方でも10代には交流に難点あり、経験を経て次第に改善します。
また、交渉などもはじめは慣れておらず、経験等を経て次第にうまくなります。

<ASDがあったら>
確かにどうしても困難はある一方、その人の中では改善する余地があります。
ただ、そのためには経験→反省→改善の反復練習が必要です。
10代と比べると、仕事が始まった方が、むしろやりやすいことも多いです。

<得意と苦手の差の循環>
得意・苦手ある中でよくあるのが「得意だと」うまく行き承認されるので、さらに練習を自然にして、もっと得意になる。
一方で苦手だと不認証等を経て、回避→改善せず、差がどんどん広がってしまうという。
これは一番憂慮するところです。
苦手でも目指すのは、もう周りの評価は割り切って改善の取り組みをしていく。その結果、それなりには改善するとなれば、色々道は開けてくるんじゃないかと思います。

<改善の方法論>
まずはそのルールを知るというところ、そして状況の観察とニーズを推測するというところ。相手が何を考えているかを見にくくても、状況等からリズ目で推測する余地はあります3つ目としては「モデリング」得意な人をまねてヒントを得ます。

<改善をしやすい分野>
まずはビジネス的な会話。目標・目的は明確のため取り組みやすいです。
次に交渉や会議、互いの目的がロジカルに決まっており、感情よりも論理のやり取りでカバーしやすいです。
3つ目は「自分主体の発表」発表であれば、相手はもうある程度枠組みが決まってますからあとは自身での完成度の問題です。

<改善する時に特に注意が必要な2点>
①変わっている、暗い等(緊急性なし)
②他者に実害がある(緊急性あり)

<特に優先して改善すべきこと>
①こだわりを押し付けない
②場を壊す発言をしない
③自慢しすぎない

2)改善にも限界はある
改善するというのは、得意になる・卓越するというところとはイコールではない。
自分の中での改善は可能も、客観的な水準になると、場合にり限界があります。
<ASDの交流の障害・社会性>
例えば表情の乏しさや不自然さというところ、これは表情を大きくして練習しても不自然さが残ります。
あとは「相手の感情を感じ取る・察する」理詰めでカバーしても、もとの「感じ取る」ところは困難。
3つ目は「場の雰囲気・ノリなどを察して動く」というところ。

<ASDの交流の障害・こだわり>
まずは「興味の幅が狭い」会話の話題が少ない場合あります。
後は「話題などの切り替えが困難」。特に日常会話での会話の無軌道な変化についていくのは困難です。
あとは「流行に合わせてついていきにくい」。

<限界が強く出やすい場面>
雑談や日常会話は、目標が不明確かつこまめな変化が必要で、苦手分野が凝縮しています。次は「とっさの場面」。練習でやった場面はかなりカバーできる一方、とっさの場面だとどうしても(弱点が)出る。
3つ目は、「愚痴など感情的なやりとり」理詰めより「つらいのを聞いてほしい」だと困難あります。

<限界が強く出やすい分野>
接客や営業では、その場の雰囲気作りが大事、その場合困難あります。
チームプレイが重視されるような分野・プロジェクト等では合わせるスキルが優先になる。
あとは根回しや・感情的な交渉が大事な分野です。

<努力が現実に負ける時>
●何とか明るくしようとしたんだけども、どうしてもぎこちなさが残って評価されない
●仕事の会話は克服したが、休み時間で会話に入れず、それで孤立
●普段はそつなくこなすも、とっさの時に失言が出て問題に

3)それでも改善には意義がある
「限界は知りつつもできることはする」というのが要点です。

まず、1つ目「見ている人はいる」というところ。
こういう改善の取り組みを続けます。そうすると、大きくあるのは「頑張ってはいる。でもあまりうまくはない」という、だいたいこんな感じになると思います。
そこにおいて評価は大きく2つに分かれます。まずは「結果が出ないから駄目」だとか、むしろ「滑稽」だとか「伸びしろはない」みたいな。そういう風に言われることはあり得るところ。
ただし、その中で取り組む姿勢自体を評価するというところがあります。確かにチームにおいて器用さはなくても取り組んでいるという姿勢が周りに(いい)影響を与えることがあります。

そういうところにおいて、少なくとも全員が否定するという風には恐らくならないと思われます。
そうなってくると相性はあるんだけれども、評価する人はいる。その中で道が開けることもあり得るんじゃないかというところがあります。

2つ目としては「謙虚になる」というところです。
得意なことをやるのは、自己肯定感には大事なんですけれども、得意ばかりやってうまくいくというのが続くと「自分だけはすごい」みたいな、ある種「傲慢」とか「自慢」とか、こういったリスクになってしまいます。
よく「カサンドラ加害者の話」がこういった文脈で出てくることが多いという風にも思われるところです。
これを苦手・改善にしっかり取り組んでいったらどうなるかといいますと、「どんなにやっても壁がある」というところに直面することになります。
そうすると、結果が出ない時に、またいろいろ言われたりするというのもあったりする。
そこの悔しさというのも実感すると、そうすると「人の気持ちは分かりづらい」ということがあったんだけども、「自分の悔しさ」というのは実感しやすいところにもなりますので、そうすると、もう人に謙虚に結果、自慢はあまりしなくなるんだと思います。

3つ目としては、「得意にも生きてくる」というところです。
一回、その苦手なことに全力で向き合う・全エネルギーで向き合おうとした場合は、そのエネルギーや工夫というところを得意分野に生かしますと案外さっと結果出たりします。
そして、その結果が出た時に、以前のような「おごり」というところは、もう一回泥水飲んでますから出にくいんじゃないかというふうに思います。

これは注意点としては「苦手と限界は知りつつ取り組む」というところです。
やっぱり全力でやらないとなかなか身につきにくい、特に苦手だと身に付きにくいです。
一方で、その得意・苦手の分析とかなく全力でやってしまうと、やっても報われないというところですごい強いストレスがかかってしまいます。
なので、これは注意が必要だと。なのである種ちょっと客観的に俯瞰して分析はしっかりしておく。その中で「これは負け戦かもしれない」とした中で、全力で苦手に取り組んでいくというのが大事なんじゃないかと思います。

最後に補足なんですけれども、これはASDを持っている方が「ご自身の改善のために取り組む」というところでの話になります。
これは第三者が「改善するの大事なんだよ」と押しつけてしまうと、逆効果になってしまう場合がありますので、あくまで「ご自身の取り組み」という風について見ていただけたらと思います。

<まとめ>
今回はASDセルフケア「コミュ力の改善と限界と意義」について見てきました。
ASDは特性上、いわゆる「コミュ力の困難」というのはよく指摘されますけども、取り組みと経験で改善の余地というのはあり得ると思います。
一方で、確かにこれは障害というところなので、どうしてもカバーしきれない部分があると、その結果「努力しても評価されない」という場面は、残念ながら大いにあり得ると思います。
それでも、改善にベストを尽くす意義というのはあると思います。限界を知りつつ、全力で取り組んで、その経験とその謙虚さというのを得意分野に生かしていけるといいんじゃないかと思います。



こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
府中こころ診療所(東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887)
こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル6階、☎0422-26-5695)

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【解説者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。

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