1980年代、バブル経済の真っ只中で湧いた空前の競馬ブーム。
それまでの競馬は、ギャンブル、大損、借金などという、世間からは偏見を持って見られている日陰の存在でした。
しかし投資ブームに沸いたバブル期は、もともとの馬主だけではなく、投資家、不動産で多額の利益を得た地主。政治家やスポーツ選手、芸能人などが税金対策として高い馬を狙って購入。中にはブームに乗らされたOLまでが借金をして馬主になり、サラブレッドの値段が急騰して行ったった時代。
たまたま税金対策で買った高い馬が優勝すると、それがまた宣伝になって「馬に投資すれば必ず儲かる」という話になり、こぞって競馬場へ行く人が増えた。
それが「金余り日本」で起きた競馬ブームです。
それまで影の存在だった競馬は、農水省の外郭団体であるJRAの先導により、メジャーで誰もが楽しめる明るい国際スポーツというキャッチフレーズに改められ、悪いイメージから抜け出そうとします。
誰もが強い馬を求めた先に有ったのが外国産馬。
ジャパンマネーは海外で有名な不動産や企業だけじゃなく、血眼になって世界の市場へ買いに行きます。
一方、日本の競馬を影で支えてきた北海道静内町や、浦河町にある小規模な競走馬の生産農家でも、その恩恵を受けていました。
JRAが振興対策として必ず馬を買ってくれる。
赤字にはならない。
業界全体にお金が回る仕組みになっていた安心感が、努力と意欲を失わせていく結果に繋がっていきます。
1990年。バブル経済が破綻すると、それまで世の中に回っていたお金は幻だった事になり、投資とされていた借金は回収されます。
誰もが金を出さなくなり、バブルで買ったものの価値は下がる一方。借金の回収だけが世の中に起こります。
バブル経済が日本に残したもの。
慎重になりすぎて何もしなくなった日本は、国際競争力を年々下げていきます。
長期不況。リストラ。収入格差。。。
日本が二分化されて行く事になった原点が、バブル破綻から5年経ったここにもあります。
華々しい競馬ブームの陰で起きていた現実です。
北海道の日高では、毎年沢山のサラブレッドが生まれています。
多くの競馬ファンがロマンを求めて日高を訪れます。
しかし今、寿命を全うできるのは、ひと掴みの馬だけです。
日本全体が浮かれて起こした失策と言われたバブル。
格差のない平和な国。総中流国家。技術大国日本。
馬を輸入した日本は、バブル破綻後に高度な生産技術を海外に移していきます。
世界第2位の経済大国と言われた日本が崩壊して行く始まり、現状が顕著に現われている馬産地日高を例に、バブル破綻から8年。本格的に海外へ目を向け始めた日本。
この先どうして行くべきかを問いかけているドキュメントです。
制作:札幌テレビ放送
放送:日本テレビ NNNドキュメント98(拡大1時間枠)
NNNドキュメント年間大賞
#競走馬 #日高 #ドキュメント