明石の浮き流し式 海苔養殖 (あまり知られていない海上作業) 育苗 (干出、網洗い作業) Part 27 (2024年11月11日 6:53-8:23)
「育苗」
育苗は網につけた胞子を発芽させ、丈夫な養殖の苗を育てるための作業です。
胞子をつけた海苔網は、網を重ね張りした状態で海苔の芽を育て、珪藻やバクテリアの付着に注意しながら大切に育てます。稲作の苗代とよく似ています。
自然界では、潮間帯(干潮と満潮の間)の波が打ち寄せる岩などに海苔が生えています。潮の満ち引きによって海苔が海上に出て乾燥したり、海中に沈んだり、また波に洗浄されながら育ちます。
ノリの養殖においても、この自然の摂理に倣って、海苔網の干出および洗浄を行っています。
干出によってノリ葉状体の耐乾燥性が高まると共に、ノリ網に混生してくるアオサ・アオノリ等のいわゆる雑藻が除去されることや、ノリ葉状体表面に着生する珪藻等を除去する効果もあり、また、乾燥に弱いカビの一種に感染して起きる「あかぐされ病」の予防効果もあります。ノリを健全に育てるためにノリ網の干出や網洗い作業は極めて重要になっています。
明石の浮き流し式養殖の場合、浮き上げ筏 (いかだ) を用いてノリ網の干出作業を行い、洗浄は海水ポンプを用いてノリ網に直接、海水を噴射することによって付着物を除去しています。
干出作業の開始は早朝が多く、継続時間は約2時間、頻度は毎日が一般的?ですが、養殖業者によって作業方法は異なっているようです。
「活性処理」
海苔活性処理とは、海苔の養殖において、干出や網洗い作業が出来ない場合、それらに代わって行う処理で、海苔網を酸性の液 (乳酸・リンゴ酸・クエン酸などの有機酸) に浸すことによって、 ノリ網に混生してくるアオサ・アオノリ等のいわゆる雑藻の除去や、ノリ葉状体表面に着生する珪藻等を除去し、海苔の病気を予防している。特に、塩分 (純粋なNaClではなくミネラルを多く含む海の潮) 濃度を15%程度に高めた活性処理液は効果が高く、その中でも、乳酸はアカグサレ菌に対する殺菌効果が高いと云われています。
塩分 (純粋なNaClではなくミネラルを多く含む海の潮) 濃度に関しては、干出時に、海苔に付着している海水が自然乾燥によって濃縮され、塩分 (純粋なNaClではなくミネラルを多く含む海の潮) 濃度が上がっている状況に似ている。ただ、海苔の生育に関して、自然界には酸処理に該当するメカニズムは無い。
(本法の経緯)
「本法は1977年に千葉県の漁業者がpHによるアオノリとアマノリ (スサビノリ、アサクサノリ等) の致死時間に差があることを発見したことにより、アオノリ対策として開発された。その後アカグサレ病やスミノリ病などの病害が防除でき、品質向上にもなることが判明し全国に普及した。1984年には水産庁次長通達により処理方法、処理後の取扱いが規定されて、1993年に佐賀県が使用を開始して全国に定着した。」
処理方法には二つあり、一つは海苔網を船上に引き上げ、活性処理液 (酸性の液体) に浸した後に海に戻す方法。この方法は効果が大きいが手間が掛かる。
もう一つは、潜り船を使った方法で、潜り船の屋根の上にある大きなトレーに噴出する処理液で満たしておき、海苔網が屋根上を通過する際に浸漬るようになっている。この方法は簡便だが処理液との接触時間が短い事や、操船技術の良し悪しによって効果にムラが生じ易い。
「育苗後の網の引き上げ」
10枚重ねで育苗していた網を1枚ずつに分けて、表 (日の当たる上側) を内側にして縦に二つ折りにし、手繰り寄せながら折りたたんでいく。
育苗後の網は出来るだけ早く港に運び、遠心脱水機で脱水した後、自然乾燥させる。乾燥 (生乾き) させた網はポリ袋にいれて冷凍庫 (-25℃) で保管し、海水温が18℃以下に下がった頃 (12月中旬?) に再び海に戻される。(本張り)
「本張り」
本張りは、生産調整をする目的やアカグサレ病の被害をさけるため、冷凍保存しておいた海苔網 (育苗した網) を、海水温が18℃以下になった頃に、アバに張り込みを行い、収穫に向け、本格的に海苔を育てていく。
海苔網の冷凍保存は、網に付着した海苔の苗を冬眠状態にしておき、海苔網を張る時期を何回かに分けて張ることで、リスク回避 (病気の発生) や品質の維持および生産量の増加を図っている。
品質の維持や生産量を増やす目的では、二期作と言って、漁期途中で冷凍保存しておいた網に張り替えを行っている。(地域によって異なる)
「海苔の刈り取りを繰り返すと (通常、5~8回摘採する) 、ノリの葉が厚くなり、品質の良い海苔が採れなくなるため」
尚、本張り後は、浮き上げ筏が無いため、干出、洗浄作業は行えない。
そのため、同じ効果を得る目的で、潜り船による活性処理 (酸処理) が数日に一回程度、行われている。尚、この活性処理液に塩 (純粋なNaClではなくミネラルを多く含む海の潮) を加えることで、塩分 (純粋なNaClではなくミネラルを多く含む海の潮) 濃度を高め、アカグサレ菌の殺菌効果を高めている。(このことは、干出時に、日差しと風によって海苔が自然乾燥する際の、塩 (純粋なNaClではなくミネラルを多く含む海の潮) の濃縮による殺菌効果と一致している)
「本張り後の潜り船による刈り取り作業、及び活性処理作業」
本張り後、二週間程度で刈り取りが始まり、その後、同じ程度の間隔で刈り取りが繰り返される。刈り取りの時には、根元から刈り取らずに、数センチ残した状態で刈り取ることで、次回の刈り取りまでの間、海苔の成長を早めることが出来る。尚、刈り取りを5~6回繰り返すと、海苔が硬くなり、品質が低下するため、3月に入ってから、12月に冷凍保存していた残りの海苔網に張リ替える事でリセットしてる。
活性処理作業は、刈り取りした後の同日と、その後、数日間隔で潜り船によって、行われている。尚、刈り取り5日前以内の活性処理は避ける。