今回の演目は「清元 文売り」になります。
作詞者は近松門左衛門になり、本名題は「花紅葉士農工商（はなもみじしのうこうしょう）」と言います。
この本名題にもあるように「士」「農」「工」「商」に見立てた四変化の舞踊です。
今回の「清元 文売り」は「商」にあたります。
文売りという職業は、懸想文（けそうぶみ）つまり恋慕を綴った手紙ラブレターを男女に売って良縁を作るというものです。
この曲では近松門左衛門の「嫗山姥(こもちやまんば)」の八重桐のしゃべりをかりた形になり、京都島原の傾城大淀が、梅の枝につけた恋文を売って歩く姿を描いたものです。
そして、廓の太夫の、恋の争いの物語を語ります。
文売りの語る物語の前半では、廓の太夫である勝美と客の男性との逢瀬と別れのシーンが語られます。
そしてそこに、勝美のライバル 傾城「小田巻」が現れ、この「小田巻」は勝美の客に恋文を送っており、勝美にその客をゆずれと迫ります。
そうして一人の男性をめぐって突飛ばしたり殴り合ったりの大ゲンカを繰り広げ、それを聞きつけた遣手（やりて）、仲居、店に出入りのある座頭、按摩、外を歩く巫女や山伏、中には雪駄下駄が片方脱げたまま駆けつけた者など、遊郭中の見物人なども加わり大騒ぎになったお話です。
大喧嘩を表現しているため、ゆっくりしっとりのみでは無く、
曲にのって踊りこむ要素もあり、芝居心が重要な演目でもあります。
＃藤間勘楊＃日本舞踊＃清元文売り