みなさん、こんにちは！
田無北口鍼灸院の白石健二郎です。
今回は「スピリチュアルケア」について、そして鍼灸師としてどう活かせるのかをお話しします。
スピリチュアルケアという言葉を聞いたことがありますか？
なんとなく宗教的なイメージがあるかもしれませんが、実はもっと広い意味を持っています。
【スピリチュアルケアとは？】
スピリチュアルケアとは、病気や痛み、不安、喪失感を抱えている人に対し、「その人の生きる意味」や「価値観」に寄り添いサポートするケアのことです。
例えば、
✅「なぜ自分はこんなに苦しまなければならないのか？」
✅「この痛みとどう向き合えばいいのか？」
といった問いを持つ方に、単なる治療ではなく心にも寄り添うことがスピリチュアルケアの役割です。
ホスピスや終末期医療の現場では、「トータルペイン」という考え方があり、痛みには次の4つの種類があるとされています。
1️⃣ 身体的な痛み（フィジカルペイン）
2️⃣ 心理的な痛み（メンタルペイン）
3️⃣ 社会的な痛み（ソーシャルペイン）
4️⃣ 霊的な痛み（スピリチュアルペイン）
これらが絡み合っているため、身体的な痛みだけを取り除いても問題が解決しないことがあります。
そのため、「人生の意味」や「心のあり方」に焦点を当てるスピリチュアルケアが重要なのです。
【インターフェイスなスピリチュアルケアとは？】
ここで、「インターフェイスなスピリチュアルケア」という考え方を紹介します。
これは小西達也先生（武蔵野大学）が提唱した考え方で、多様な宗教・価値観が混在する現代において、
✅ 宗教を持っている人もいれば、持っていない人もいる
✅ 価値観の異なる人々に、どう安心できるケアを提供するか？
という課題に応えるものです。
例えば、
🔹 「神様に祈ることで安心できる」と言う患者さんに対し、「私は宗教に興味がないから関係ない」と突き放してしまうのはよくありません。
🔹 逆に、「この考え方は正しいから、あなたも信じるべき」と押し付けるのも問題です。
そのため、私たちケア提供者が「インターフェイス（接点）」になることが大切です。
つまり、「その人にとって大切なものは何か？」を尊重しながら、橋渡しの役割を果たすのです。この辺の話の詳細は小西先生の書籍をぜひ手に取ってみて下さい。https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B1%E3%82%A2%E2%80%95%E2%80%95%E6%B0%B8%E9%81%A0%E3%81%A8%E5%AF%BE%E8%A9%B1%E3%81%AE%E6%A0%B9%E6%BA%90%E3%81%B8-%E5%B0%8F%E8%A5%BF%E9%81%94%E4%B9%9F/dp/4861108667
【一／多アプローチとは？】
スピリチュアルケアでは「一／多アプローチ」という視点も重要です。
これは、人間には共通する部分（One＝一）と、それぞれ異なる部分（Many＝多）があるという考え方です。
✅ 「痛みや不安は誰にでもあるもの」 → 共通する部分（One）
✅ 「でも、その痛みや不安の捉え方、乗り越え方は人それぞれ違う」 → 個別の部分（Many）
この視点を意識しながら、患者さん一人ひとりに合わせたケアを提供することが大切です。
【鍼灸師としてスピリチュアルケアを実践する場面】
では、実際の鍼灸の現場で、どんなときにスピリチュアルケアが活きるのか？ 3つの具体例を紹介します。
① 問診・カウンセリングのとき
✅ 「肩こりがひどい」と言って来院した患者さんでも、話を聞くと「仕事のストレス」「家族の問題」などが原因の場合もあります。
✅ 「何がその人にとって支えになっているのか？」を探り、寄り添うことで、より深いケアが可能になります。
② 施術中のリラックスした対話
✅ 鍼灸は身体的な治療でありながら、精神的なリラックスを促すことができます。
✅ 施術中に患者さんが「実は最近、家族との関係で悩んでいて…」と話し始めたとき、ただ聞いてあげるだけでもスピリチュアルケアになります。
③ 他の専門家との橋渡し
✅ スピリチュアルケアには、鍼灸師だけでは対応しきれない領域もあります。
✅ 例えば、「人生の意味を見つめ直したい」と悩む患者さんには、心理カウンセラーや宗教者と連携することで、より適切なケアができます。
【実践するためのポイント】
1️⃣ まずは自分自身の価値観を知る
→ 自分の考えを押し付けないようにする。
2️⃣ 患者さんの話をしっかり聞く
→ 治療のことだけでなく、「その人が何を大切にしているのか？」に意識を向ける。
3️⃣ 「一」と「多」の視点を意識する
→ 共通する部分（苦しみ、不安）と、その人固有の背景をバランスよく見る。
4️⃣ 他の専門家との連携を大切にする
→ 鍼灸の範囲でできることと、できないことを把握しておく。
【まとめ】
今日は、スピリチュアルケアとは何か？
そして、鍼灸師としてどう活かせるのか？ についてお話しました。
これからの医療やケアの現場では、身体だけでなく、「心」や「生き方」に寄り添うことがますます重要になります。
鍼灸師としても、「インターフェイス」としての視点を持ち、患者さん一人ひとりに寄り添うケアをしていきたいですね。
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