こんにちは、田無北口鍼灸院の白石健二郎です。
今回は少し哲学的な視点から鍼灸治療についてお話ししたいと思います。テーマは、哲学者井筒俊彦の『意識と本質』です。この本の内容をわかりやすく説明しながら、そこから得られる視点をどのように鍼灸治療に生かせるかを具体的にお話しします。
井筒俊彦はイスラーム哲学や禅仏教を研究し、「意識」と「本質」という概念を使って東洋哲学を解き明かした哲学者です。私たち鍼灸師にとっても、この視点は非常に参考になります。鍼灸は、患者さんの体の不調を表面的に捉えるだけではなく、その奥にある本質や意識に目を向ける治療法です。
この動画では『意識と本質』の各章を順番に紹介しながら、治療の現場にどう応用できるかを解説します。ぜひ最後までお付き合いください!
『意識と本質』の構成と内容
『意識と本質』は以下のような構成になっています。
第一章:意識と本質 ― 東洋哲学の共時的構造化のために
第二章:本質直観 ― イスラーム哲学断章
第三章:禅における言語的意味の問題
第四章:対話と非対話 ― 禅問答における一考察
それぞれの章をわかりやすくご紹介し、鍼灸治療との関連性を考えていきます。
第一章:意識と本質 ― 東洋哲学の共時的構造化のために
この章では、「意識」と「本質」を軸に、東洋哲学を共通の構造として捉える試みが語られます。井筒は、仏教、道教、イスラーム哲学といった異なる思想を横断的に比較しながら、これらがどのように「本質」を捉えようとしているかを探ります。
意識は、単なる主観的な思考を超えて存在そのものに関わるものです。
本質は、表面的な現象を超えた奥にある「真のリアリティ」を指します。たとえば仏教の「空」やイスラーム哲学の「統一性(ワーヒダ)」がこれにあたります。
鍼灸治療でも、患者さんの表面的な症状だけでなく、生活習慣や心身の全体性に目を向け、奥にある本質的な状態を探る姿勢が大切です。
第二章:本質直観 ― イスラーム哲学断章
この章では「本質直観」という考え方が紹介されます。
本質直観とは、論理的な理解を超え、瞬間的に“本質”を把握する感覚のことです。
鍼灸師としての経験の中で「ここだ!」と感じる瞬間があると思います。触診や脈診、腹診をしているとき、言葉では説明できない感覚が湧き上がることがあります。これがまさに本質直観に近いものです。
こうした直観を大切にすることで、治療がより深いレベルで患者さんに響くようになります。
第三章:禅における言語的意味の問題
禅仏教では、「不立文字(文字に立たず)」という言葉があります。悟りは言葉を超えた体験によって得られるものとされていますが、実際には禅問答のように言葉を媒介にして気づきを得る方法もあります。
鍼灸治療でも、患者さんとの対話を重視しながらも、言葉だけに頼らず非言語的な情報を読み取ることが重要です。たとえば、患者さんが「なんとなく調子が悪い」と言ったとき、言葉の表面にこだわらず、表情や脈の変化、触診で得られる感覚を総合的に判断する必要があります。
第四章:対話と非対話 ― 禅問答における一考察
最後に「対話と非対話」についての考察です。
禅問答は、一見すると論理的な対話が成立していないように見えます。しかし、この「非対話的」なやりとりが瞬間的な気づきを生む重要な役割を果たします。
鍼灸師としても、患者さんとの対話がすべてではありません。ときには説明するのではなく、患者さん自身が気づく時間を作ることが大切です。その気づきが治療をさらに深めるきっかけになります。
鍼灸治療への応用ポイント
井筒俊彦の哲学を鍼灸に生かす視点をまとめると、以下のポイントが挙げられます。
意識と身体の本質を捉える視点を持つ
表面的な症状だけでなく、患者さんの全体性に目を向けましょう。
言語を超えた直観を重視する
触診や脈診で得られる感覚を大切にし、直観力を養いましょう。
対話と非対話のバランスを取る
言葉だけに頼らず、患者さんの体のサインに敏感になることが大切です。
治療を「気づきの場」として提供する
鍼灸治療を患者さんが自分の本質に気づく体験の場として提供しましょう。
まとめ
井筒俊彦の『意識と本質』は、私たち鍼灸師に多くの示唆を与えてくれる本です。
鍼灸治療は、単なる対症療法ではなく、患者さんが自分の本質に気づくための場でもあります。この哲学を参考にしながら、より深い治療体験を提供していきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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