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【統合失調症】統合失調症は治療しないとどうなる?【精神科医が15.5分で説明】してはいけないこと|陰性症状|精神科

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0:00 (1)はじめに
0:16 (2)統合失調症について
1:51 (3)統合失調症は治療しないとどうなるか
2:13 ①様々な症状の悪化
6:07 ②社会適応などへの影響
8:33 ③日常生活への影響
11:12 (4)対策は「早期治療」と「治療継続」
12:15 (5)前触れの状態(ARMS)とその時の対策
14:40 (6)まとめ

統合失調症はもし治療しないとどうなるでしょうか?幻聴などからの混乱のみならず、陰性症状の重症化での(治療後の)生活困難や慢性的な幻聴の残存など非常に大きな影響があります。まさに治療しないことは統合失調症で「してはいけないこと」であり、早期治療と治療継続が大事です。

ご質問「統合失調症では治療しないとどうなる?」について、精神科医が15.5分で回答しています。
出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)

こころ診療所吉祥寺駅前 https://kokoro-kichijoji.com
府中こころ診療所 https://fuchu-kokoro.com
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↓詳しい内容はこちらです。

(1)はじめに

統合失調症は早期からの治療継続が重要な疾患です。本稿では、治療を行わなかった場合にどのような影響が生じるのか、短期的・長期的な観点から詳しく解説していきます。

(2)統合失調症について

統合失調症は、幻聴や妄想などが特徴的な脳の不調で、主に脳内のドーパミンの働きが過剰になることが原因とされています。症状は大きく3つに分類されます。

1つ目は「陽性症状」で、幻聴や妄想など、急性期に特に目立つ独特な症状です。2つ目は「陰性症状」で、意欲や感情表現の低下など、生活に大きな影響を与える症状です。3つ目は「認知機能障害」で、思考力や注意力の低下により、日常生活や対人関係に支障をきたす症状です。

治療には主に3つのアプローチがあります。中心となるのは抗精神病薬による「薬物療法」です。これにより症状の改善と再発予防を図ります。次に「精神科リハビリテーション」があり、デイケアなどで徐々に日中の活動を増やし、生活リズムの回復を目指します。さらに「福祉資源の活用」により、残存する障害へのサポートを行います。

(3)統合失調症は治療しないとどうなるか

①様々な症状の悪化

治療を行わないと、脳が過敏な状態が継続し、様々な症状が悪化・慢性化していきます。

陽性症状については、幻聴や妄想が強まり続け、最終的には混乱状態となって入院が必要になることも少なくありません。例えば、大音量の悪口が1日中聞こえ続けたり、命令幻聴に逆らえなくなったりします。また、被害妄想により常に狙われているような強い恐怖と不安に襲われ、睡眠もままならない状態に陥ることがあります。

陰性症状と認知機能障害も、表面化は遅いものの徐々に進行していきます。これらは後の治療で症状が安定した後も強く残存し、日常生活に大きな支障をきたす原因となります。

さらに、治療をしない期間が長くなるほど、後に治療を開始しても効果が得られにくくなる「治療抵抗性」の状態に陥りやすくなります。また、自分が病気であるという認識(病識)も持ちにくくなり、これが治療中断や再発のリスクを高める要因となります。

②社会適応などへの影響

未治療の状態が続くと、症状による対人トラブルが増加し、家族や友人との関係が悪化して孤立しやすくなります。例えば、幻聴の命令に従って迷惑行為をしたり、被害妄想から特定の人を攻撃的な態度で追及したりすることで、周囲との関係が損なわれていきます。

また、症状による作業能力の低下やトラブルにより、職場での継続就労が困難になりやすく、経済的な問題も生じてきます。さらに、強い症状が持続する中では、法的なトラブルに巻き込まれるリスクも高まります。

③日常生活への影響

陰性症状や認知機能障害により、基本的な日常生活動作にも支障をきたすようになります。衛生管理や食事の管理が行き届かなくなり、それが近隣トラブルや健康上の問題につながることもあります。

特に身体面では、不規則な生活リズムや偏った食生活により、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクが増加します。さらに、陰性症状などから定期的な健康診断や治療を受けない傾向があり、それが重篤な健康問題につながる可能性もあります。

(4)対策は「早期治療」と「治療継続」

これらの問題を防ぐために最も重要なのは、早期に治療を開始し、それを継続することです。治療開始が遅れるほど様々な影響が長期化、深刻化するため、不眠や過敏などの初期症状の段階で医療機関を受診することが推奨されます。

また、一度治療を開始した後の中断は、未治療と同様の影響をもたらします。治療継続への抵抗感は自然なものですが、それを支援するための疾患教育や心理的サポートを併用することで、より良い経過が期待できます。

(5)前触れの状態(ARMS)とその時の対策

統合失調症には発症前の前触れ状態(ARMS:At Risk Mental State)があり、この段階にある人の約3分の1が2-3年以内に発症するとされています。しかし、3分の2は発症せずに経過することから、この段階での治療、特に抗精神病薬の使用については慎重な判断が必要です。

現在の医学的見解では、ARMS段階での抗精神病薬の使用効果は明確でなく、過剰投薬となるリスクも考慮して、多くのガイドラインでは推奨されていません。この段階では、心理社会的な対応を中心とし、ストレス管理を重視した支援が現実的とされています。

ただし、実際に幻聴など統合失調症の症状が確認された場合は、速やかに抗精神病薬による治療を開始する必要があります。

(6)まとめ

統合失調症の未治療は、症状の悪化や慢性化、社会生活の困難など、広範な影響をもたらします。そのため、早期発見・早期治療と、継続的な治療が極めて重要です。特に治療の中断は未治療と同様の深刻な影響をもたらすため、可能な限り避ける必要があります。

前触れ状態(ARMS)については、薬物療法の開始は慎重に判断し、まずはストレス管理を中心とした対応を行います。しかし、実際に発症が確認された場合は、速やかな治療開始が推奨されます。

こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
府中こころ診療所(東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887)
こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル6階、☎0422-26-5695)

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【監修者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。

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