お聞きいただきまして本当にありがとうございます。
以下朗読制作の雑記ですが「松風の門」ネタバレを含みます。
私自身、これまで朗読や映像作品で触れることはあっても、恥ずかしながら氏の小説作品自体に触れたことがありませんでした。YouTube朗読を始めてその作品の人気を実感するとともに、周五郎氏の生み出された作品数も数限りなく。
このチャンネルでの作品紹介ですが、周五郎さんの作品は、ざっくりと内容を言い表そうとするとそれがそのまま感動シーンのネタバレになってしまうという不思議な特徴があり、簡単に要約ができずサムネの紹介もこれでも毎回かなり頭を捻ります。
では実際に今回の作品で私が要約を書くとどうなるかといいますと・・・
「子供の頃主君の片目を失明させた主人公は、一揆を企む首謀者を主君の命に背き切り捨てる。これで内乱が起きるのではないかと危惧する主君であったが意外にも一揆は収まる。しばらく後、蟄居を命じていた主人公に言葉をかけようとする主君であったが、主人公はあの日にすでに切腹していた。失明の償いをする機を長い間待っていたのだ。その思いを初めて理解した主君は深い悲しみに沈むのであった。」
となって、これだけ読めばもう聞かなくてもいいかもというくらい泣けてくるし全部ネタバレに。
またそこまでではなく、内容の一部を「切り取って」みても
子供の頃、主君の片目を失明させた主人公は、一揆を企む首謀者を主君の命に背き切り捨てた・・・
いったいなぜ?
とかいうと、周五郎ファンは、忠義の臣が主君を失明させているということは当然、また侍であるから、という具合にその後の展開がほぼわかってしまうので、要約を読んでしまうと、朗読を聞くのがその自分の考えをなぞっていくことになり新鮮味を感じられなくなってしまいます。
だからと言って、小説の題名だけだとその周五郎作品ジャンル数の多彩さからこの作品を聞く60分なりの時間を自分の好みとして楽しめるかという、作風が多彩なゆえにあぁ思っていたのと違ったなと、選択がちょっとギャンブル的になってしまう。
またまただからと言ってこちらも、「お笑い」とか「爆笑」とか「感動」「爆涙」「人生の機微」などというアイコンをつけて収まるほど周五郎作品は浅く軽くないので、そんな一言でまとめることできるはずもなくほぼほぼこれもやりにくい。
もう一つのアイデアでは、オープニングの曲で内容の種別を匂わせるというのもあるかと思ったのですが、これもやってみてすぐわかったのですがこれだけ作品数が多いのに、さすが周五郎さん、同じグループだなと切り分けられるほどの共通性というかテーマというか、グループがほとんどないのです。となると、全作品、別の曲ということになってしまいのでそれならば数曲で雰囲気選択という結論に。
それで行き着いたのは、その「ドラマ的な要素の記述」でした。
ということが言いたいためにここまで書かせていただきました。読んでいたたけたのですね、本当にありがとうございます!
私としましては録音自体は職業であることもありあまりストレスなく進められるのですが、この各作品の紹介部分はかなり考えなければ出てきません。動画制作で一番時間がかかるところではあります。
作品によりましては、今日不適切と認識され常識として出版・放送等で避けている言葉が一部使用されておりますが、表現を置き換えることはせず、原文そのままの形で公開させていただいております。また、目で読む読書とは違い、表記のまま音声化すると音的に意味が伝わりにくいと思われる一部の言葉は、文脈的に補足がない場合、僭越ながら理解優先のため意味読みをさせていただいている部分があります。
朗読の楽しさを感じていただけるユーザー様の幅を少しでも広げたく考え、タイトル、サムネイル等にはポップな表現を用いておりますが、内容を逸脱しないよう心がけさせていただいております。
また最近、朗読背景に動画を使用しているためサイズが大きくなっていることが、再生環境にどの様な影響があるか掴みきれておりません。
不都合等ございましたらコメントいただけましたら工夫をしてまいります。
青空文庫様のデータを活用させていただいています。このデータのあるお陰様で私の朗読はこのようなUPスケジュールで達成できております。関係の皆様、本当に感謝しております。ありがとうございます。
****法的なお話****
なお「朗読」には「二次的著作物」としての著作権は認められないという判例(解釈)に基づき(東京地裁 令和 4 年(ワ)第 4676 号)パブリックドメイン著作物の朗読制作を行なっております。
著作隣接権等放棄をしているわけではありませんので当チャンネル朗読作品の転載等はご相談ください。