弘前市の食品市場、虹のマートに昔ながらの漬物を販売する専門店がオープンしました。その背景と漬物の文化を絶やしてはいけないという店長の思いとは。
【比内希記者】
「弘前市民の台所として親しまれている食品市場、虹のマート。12月から新しく漬物専門店がオープンしました」
12月2日にオープンしたばかりの漬物専門店「おみおつけ」。店頭には食べきりサイズの漬物がずらりと並びます。お店の名前の由来はというと。
【カネ伸石田綜合食品 石田康一社長】
「(漬物を)漬けている方が“みお”という方。ですので“おみお”さんが漬けた”おみおつけ”。ちょっと遊びがあるような感じ」
そう話すのは、弘前市出身、カネ伸石田綜合食品の社長で「おみおつけ」店長の石田康一さんです。
虹のマート創業翌年の1957年から店内に青果店を構え、その後、総菜店を出店。
そして今回オープンした「おみおつけ」で3店舗目となりました。自家製の漬物は、もともと青果店で販売していて、漬物目当てのお客さんも多かったといいます。
【漬物を購入した人】
「クセがないというか食べやすい感じ。マイルドな味付けで」
(Q.ご家族で召し上がっている)「はい」
今回、新店舗を出店したのには、虹のマートとともに発展したいという願いがあります。
【カネ伸石田綜合食品 石田康一社長】
「虹のマートに今お客様がたくさん来ていらっしゃいまして、ぜひともこの流れに乗るというか、いろいろ大変でしたけれども、漬物屋さんを独立しまして」
そして、石田社長がいう大変だったことというのは。
【カネ伸石田綜合食品 石田康一社長】
「食品衛生法の問題がやはり大きくありまして」
2021年、食を取り巻く環境の変化や国際化に対応し、より食品の安全を確保するために食品衛生法が改正されました。
この改正で、「漬物製造業」が新設。経過措置が2024年5月末で終了し、漬物を製造するには保健所への営業許可が必要になりました。
さらに…。
【カネ伸石田綜合食品 石田康一社長】
「壁や天井がないといけないとか、冷蔵保管設備とか、蛇口はひねる式ではなくレバーでないといけないとか、いろいろあるんですよね」
営業許可を取得するには、「営業専用の調理場を設ける」、「レバー式の手洗い設備にする」といった細かい条件をクリアする必要があります。
青果店で販売していた頃から設備は整っていましたが、今回新店舗を構えるにあたり、設備も一新しました。
【カネ伸石田綜合食品 石田康一社長】
「資材なんか、10年くらい前から比べると全て倍の価格なんですよね」
「当社に関しては、設備だけで530万円かかりましたね」
こういった設備投資が難しく、漬物製造を続けられなくなった店もあるといいます。
そんな苦しい状況の中でも、この地で漬物を販売する思いとは。
【カネ伸石田綜合食品 石田康一社長】
「やはり昔から伝わる独特の文化ですので、やはり絶やしてはいけないと。近いところでいうと秋田のいぶりがっこがなくなるようなお話とかも聞こえてきますし。ぜひとも皆さんには踏ん張って頑張っていただいてご商売を続けて、昔から伝わる伝統というものをみんなで頑張って、盛り立てていきましょうという思いがありますね」