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【声優の朗読】意味不明?実は鋭い風刺!概要欄↓に解説書いたよ~エドガー・アラン・ポー作『十三時』

村上ヨウの朗読文庫 6,495 lượt xem 3 years ago
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「…スピイスブルクの彫刻師が時計とキャベツの二つしか彫刻しないからである。」
青空文庫より『十三時』を朗読しました。

なんとも言えず意味不明でシュールな世界で、描写はくっきりと輪郭がわかるほどなのに、なんとも曖昧にしか捉えられない世界観。
そこで起こる出来事も結末も、明確なのになんともスッキリしない。

これはポーが書いた社会風刺作品で、形骸化した、意味のない伝統にとらわれることの愚かさと、それを打破することがいかに奇抜で受け入れがたいものであるかを示しています。

時計とキャベツに執着するのみの無意味な生活、その破壊者の風体と行動の異様さを精緻な描写で描き、しかもよく読めば物語のごく最初から内容はかなりめちゃくちゃで、ありもしない書物のタイトルやその特徴など、どうでもいいことを厳かに書き綴っていて、読んでいるこちらにも「ボンヤリしていると流されてしまうぞ」とメッセージを送っているようです。

しかしいざ事が起こってからの緊張感と怒涛の展開、人々の混乱ぶりなどは空恐ろしさも感じられ、さすがゴチックホラーの巨匠と思わせられます。
なお、動画の途中、時計と一緒に出てくる挿絵は当時のものです。

最後に語り手が声を上げていますが、果たして真面目に演説しているのか、いたずらっぽく目を輝かせたポー自身なのか、なんとも考え深く楽しめる作品でした。
ちなみに訳者の森林太郎とは、森鴎外の本名です。
彼がこの作品を訳そうとした思いというものも考えてみるとまた面白さがあります。


余談ですが、海外作品を翻訳で読んでいる時、日本の作品とはかなり違い、その状況描写の情報量の多さに驚きます。
これは文化とか、根底の考え方の違いから来るのでしょうが、演技に対する考え方もここらへんから違うのかな、と思ったりします。
感情というものに強く焦点をあてる日本の演技スタイルに対して、なるほどあちらではメソッド演技が確立されるわけだ、とか思ったりしました。
・・・朗読とあまり関係ないですね。


音楽:
https://www.bensound.com/
https://dova-s.jp/

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