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2025年版:床下エアコンで失敗するパターンを考える

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今回は「床下エアコンで失敗するパターン」について解説します。

寒い季節になると、暖房の方法について気になる方が多いのではないでしょうか。特に最近は「床下エアコン」に注目が集まっています。私も動画でお話しさせていただく中で、「初めて床下エアコンを導入する工務店で家を建てるのですが、失敗しないための秘訣やコツはありますか?」という質問をよくいただきます。そこで今回は、床下エアコンで失敗しないための法則となるようなパターンについて解説していきたいと思います。

まず、床下エアコンの効果を妨げる最大の要因は、ズバリ「間仕切り基礎」と呼ばれるものです。基礎というのは、1つの四角い建物の土台となる部分ですが、基本的に「ベース」と呼ばれる部分と「立ち上がり」と呼ばれる部分の2つで構成されています。さらに「立ち上がり」には、大きく分けて2種類あります。1つ目は、外壁が乗る外周の立ち上がりです。これは外と建物を分離するために不可欠です。2つ目は、建物の内部にある間仕切りの立ち上がりで、特に木造住宅では間仕切りの壁を支えるために設けられます。構造的に考えると、壁をしっかり支えることができるので、間仕切りの立ち上がりが多いほど建物は丈夫になります。

しかし、床下エアコンは1階の床下全体を温めることで暖房効果を発揮するため、間仕切りの立ち上がりが多すぎると、まるで屏風のように空気の流れを遮ってしまい、効果が落ちてしまうのです。そのため、床下エアコンを導入する際には、この間仕切り基礎をどのように対策するかが重要なポイントになります。

床下エアコンの話をする際、「立ち上がりがあっても、人通口があるから暖気は通るのではないか?」という意見があります。人通口とは、その名のとおり、床下に潜った際に人が通れる開口部のことです。住宅は、定期的に点検できるようにしておくことが大切です。そのため、立ち上がりの一部に人が入れるような開口部を設けています。そうなると、人通口を通って暖気も流れるのでは?と考える方が多いのですが、実は驚くほど暖気が通らないのです。

例えば、田の字型の間取りの住宅を考えてみましょう。間仕切りの立ち上がりを最低限に抑えたとしても、一般的に真ん中あたりに人通口を設けます。これは大体60〜80cm程度ですが、実際には80cmも確保するのは難しいことが多いです。では、この状態でエアコンを設置したとします。しかし、この場合、エアコンが置かれた空間の暖気は隣のブロックにはほとんど届きません。その結果、和室や水回りなどの部屋が寒くなってしまうという現象が起こります。

そのため、間仕切りの立ち上がりを減らす必要があります。もしくは、人通口の数を増やし、空気の流れを改善する工夫が求められます。しかし、ここで注意しなければならないのは、単純に間仕切りの上部を取り除けばよいわけではないという点です。間仕切り基礎は、基本的に「ベース(底面)」と「立ち上がり(壁面)」で構成されています。これを「上の部分だけ切り取ってしまえば問題ないのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、実際にはそう簡単な話ではありません。

なぜかというと、木造住宅も鉄骨住宅も、基礎は鉄筋コンクリート(RC造)で構成されており、そこには構造的な原則があるからです。例えば、鉄筋コンクリートの2階建ての建物を考えてみましょう。2階の床(スラブ)単体では自立できません。そのため、四方に梁を入れ、その上にスラブを載せることで構造的な安定を図っています。この形は、まるでチョコレートのパッケージの凹凸をひっくり返したようなイメージです。同様に、基礎においても、梁があることでベースを引っ張り、全体を支える構造になっています。つまり、単純に上部の立ち上がりを取り除いてしまうと、梁の役割を果たす部分がなくなり、構造が不安定になってしまうのです。

そこで、構造を維持しつつ床下の空気の流れを確保するためには、地中梁を設ける必要があります。地中梁を作ることで、間仕切りの立ち上がりを減らしながらも構造的な安定を保つことができます。ただし、この地中梁を設けるとコストが上がるため、できるだけ避けたいと考える方もいます。また、昔の職人さんの中には「ベースがこれだけ分厚くつながっているのだから、梁がなくても大丈夫だろう」と考える人もいました。しかし、実際にはそういった考え方では構造的に成立しないのです。

そこで、私がおすすめするのは、飛ばせる部分は地中梁を活用して開口部を広くし、さらに人通口もできるだけ大きく確保する方法です。ただし、開口部を広くすると、その部分の強度が弱くなってしまうため、小さな地中梁、いわゆる「開口部補強」を施すことが重要です。こうすることで、鉄筋コンクリートの構造の原則を守りつつ、床下エアコンがしっかりと機能する基礎を作ることができます。これを怠ると、失敗してしまう可能性が高くなります。

設計や施工を担当する方はプロなので、この点は理解されていると思いますが、次に考えなければならないのが「エアコンの設置場所」です。建物が正方形に近い場合、「どこかの辺の真ん中あたりにつければいいのでは?」と考えがちですが、実際の住宅は長方形であることが多く、どちらかの方向が長くなっています。例えば、長手方向に対して短手方向にエアコンを設置してしまうと、空気の流れが悪くなり、暖まりにくい部分が出てしまうことがあります。

私の経験上、この配置を深く考えずに決めてしまう方が多いのですが、基本的にエアコンは単純な機械で、ルームエアコンは前方に向かって真っ直ぐ風を吹き出します。もちろん、風向きを変えられるタイプもありますが、その調整範囲は限られています。そのため、できるだけ長手方向に向けて設置した方が、空気が均一に広がりやすくなります。ここで「距離が長くなると、先の方が暖まらないのでは?」と思われるかもしれませんが、実際には「空気がどこまで届くか」が重要なのです。この点を考慮して、エアコンの配置を決めることが大切です。

また、水回りの下には間仕切りが多く、暖気が届きにくいことがあります。寒いトイレや脱衣所は嫌ですよね?特にリビングが暖かいと、相対的にトイレや脱衣所の寒さが際立ってしまいます。人間は快適な環境に慣れると、それが基準になってしまうため、普段なら暖かいと感じるレベルでも寒いと思うことがあります。

こうした問題を解決するためには、エアコンの吹き出し口付近にダクトを設け、送風ファンを活用して暖気を届きにくい場所へ送る方法が有効です。サーキュレーターを使うのも1つの手ですが、ここで注意しなければならないのが音の問題です。以前あるお客様から「地鳴りがする」と相談を受けたことがありました。話を聞いてみると、その方は自分でサーキュレーターを購入しコンセントを設置して使用していたのですが、選んだサーキュレーターが大型で風量が多く、同時に音も大きいものだったのです。その結果、振動音が響き、まるで地鳴りのように感じられたということでした。このような問題を防ぐためにも、送風ファンを使用する際は静音タイプを選ぶことをおすすめします。ただ単に風量を増やせば良いというわけではなく、快適性を損なわないように配慮することが大切です。

また、一軒の基礎の中でも、南側と北側を比較すると、北側の基礎の立ち上がり部分は、どれだけ断熱を施しても温度が下がりやすい傾向にあります。特に北西の角が一番温度が低くなることが多い印象です。こうした寒さ対策として、基礎断熱のスペックを上げる、つまりもう一枚厚めの断熱材を追加するという方法があります。もちろん、これはプランによってケースバイケースではありますが、全体最適のために有効な対策ですので、ぜひ検討してみてください。

最後に、排水経路も注意が必要です。最近では、お風呂やトイレを外周側ではなく、家の真ん中に配置するプランが増えています。これは、間取りの回遊性を高める上で有利なため、よく採用される設計です。しかし、この配置によって排水管の経路が複雑になり、思わぬ問題が発生することがあります。

例えば、家の中央にトイレを配置した場合、排水の配管(直径約15cmの太い管)を床下で外周側へ導かなければなりません。その際、単に真っ直ぐ下ろすだけでなく、途中で曲げたり、吊ったりしながら設置する必要があります。このような配管の取り回しによって、床下のスペース(約40cm程度)の中に大きな障害物ができてしまうのです。さらに、吊り金具や補強材が加わることで、床下エアコンの暖気の流れが阻害されるケースもあります。

設計段階では問題なく暖気が届くだろうと思っていても、実際に床下に潜って確認してみると、配管が邪魔になっていて空気がうまく流れていない事態が発生することがあります。実際に、私たちも過去に設計上のミスを経験しました。その際には、床下エアコンの位置を変更するなどの対応を行い、お客様にご迷惑をおかけしてしまったこともありました。こうした問題は、初めて床下エアコンを導入する工務店さんでも起こりやすいので、設計段階でしっかりと考慮しておくことが重要です。

この話は少し専門的な内容になりますが、もし床下エアコンを採用しようと考えている場合は、工務店の監督さんや設計士の方にもこの情報を共有していただければと思います。理解してもらえれば、よりスムーズに計画が進むはずです。もちろん、お施主さんご自身がこの情報を理解しておくことも大切ですが、それ以上に「一緒に成功させよう!」という気持ちで工務店さんと協力できると、より良い家づくりにつながります。

私は、そうやってお施主さんがチームの一員として家づくりに関わることが、とても素晴らしいことだと考えています。そうした想いが込められた家は、必ず魂が宿り、良い家になるはずです。ぜひ、この情報を活用しながら、理想の家づくりに挑戦してみてください。

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